( ФωФ)二人の架け橋のようですノパ听)
七月七日。
言うまでもなく、七夕である。
七夕と言えば、織姫と彦星。
そして、夜空に爛々と輝く無数の星々が織り成す、天の川。
「天の川を見たい!」
始まりは、幼馴染みのその一言だった。
(;ФωФ)「……」
ノハ;゚听)「……」
星がよく見える丘に設置されたベンチ。
そこへ腰掛けながら、吾輩と幼馴染みのヒートは空を見上げていた。
頬を流れる水滴は、汗ではなく。
ノハ;゚听)「なんで雨が降るんだぁぁぁぁぁ!」
そう。
着いた途端、突然の豪雨に襲われたのである。
幸いベンチには屋根が備え付けられており、雨は回避できている。
それでも、着く途中に土砂降りになったので、吾輩もヒートもびしょ濡れであったが。
(;ФωФ)「嘆いても仕方ないのである 天気ばかりはどうしようもな……」
ノハ;゚听)「出る前は雲なんかなかったのにいいぃぃぃぃ!」
ええい、うるさい。
子供かと突っ込もうとして、お互いまだ中学生の子供であることにはっとした。
確かに、天気予報でも今夜は雨が降らないと言っていたし、
吾輩自身癪に障る部分もあるが……
田舎町のこんな時間に、こんな場所を訪れる人もなく。
空しく二人で雨宿りをしながら、恨めしそうに空を見上げている。
その様子が、どれだけ滑稽な事だろうか……
想像するだけで、頭を抱えてしまいたくなる。
ノハ;゚听)「もー」
隣では、未だぷりぷりと怒りをあらわにしつつ、髪をハンドタオルで拭くヒート。
しかしそんな小さな布では、彼女の長い髪をカバーしきれるはずもなく。
すぐにタオルもびしょ濡れになってしまっていた。
(;ФωФ)っ■「ほら 吾輩のを使え」
ノパ听)「むー さんきゅ!」
吾輩が持っていたハンカチをヒートに渡す。
そんな物では気休め程度にしかならないだろうが、ないよりはマシだろう。
吾輩はというと、涼しくて丁度いいのでこのままで良かった。
髪はTシャツでわしゃわしゃして終わりである。
( ФωФ)「まぁ、ヒートが風邪をひいたら色々と──」
ノパ听)「ロマ? どうした?」
(*ФωФ)「いや、なんでも、なんでも、ないである、よ」
ノパ听)「えー?」
ヒートの服装は、白いTシャツにスパッツという、ものすごくラフな服装。
そして、その白いTシャツは、雨のせいで、透けていた。
水色縞々のスポーツブラらしきものが、すけすけで。
ノパ听)「どうしたんだ?」
いや、うん、近づかないでほしいのである!
目のやり場に困るのである!
ノパ听)「ロマー?」
(;ФωФ)「い、いいから! 吾輩のことは気にするな!」
……。
それにしても、いつのまにかヒートも、出るとこがで……
って、吾輩は何を言ってるのであるか!
いかん!いかんであるぞ!硬派のはずの吾輩がそんな!
大体、ヒートが無防備すぎるのがいけないのである!
そんな白いTシャツで濡れていたら、透けるに決まっているだろうに!
ベンチに備え付けられた電灯は弱々しいものの、星の明かりも手伝ってよく見え──
あれ?星?
ノハ*゚听)「うおー! 晴れたぞー!」
気がつけば。
夜の闇に浮かんだ黒い雲はどこにもなく。
空には満天の美しい星達が輝いていた。
そして特に、星達が集う場所。
それはまるで、川が光を反射しているような。
天の川だ。
吾輩もヒートも、あまりの美しさに立ち上がり、星々を見つめていた。
ノハ*゚听)「きれーだなぁ……」
( ФωФ)「……うむ」
吸い込まれそうな星々の瞬きに、目も、体も、心も奪われた。
ヒートに強制的に誘われた時は、またかとうんざりしていたが。
これはこれで、良い物であるな……
ノハ*゚听)「ね、ロマ」
( ФωФ)「なんであるか?」
ノハ*゚听)「織姫と彦星、会えたかなぁ?」
( ФωФ)「うむ あの星とあの星が織姫と彦星であるな」
ノパ听)「?? 二人とも、川の向こう側にいるのか?」
( ФωФ)「そうであるな」
ノパ听)「それじゃ会えないじゃんか!」
それはまぁ、星は動かないから仕方ないのである。
そう言おうとした時。
(;ФωФ)「うおっ」
ノハ*゚听)「こーすれば、天の川を渡れるねっ」
ヒートが吾輩の手を取り、夜空へと掲げた。
繋がり合う両手は、天の川を渡る橋のように。
まったく、やっぱりお前は、子供であるな。
でも今日ばかりは織姫と彦星の顔を立てて、付き合ってやるのである。
天の川に架けられた、吾輩とヒートで作り上げた橋。
この橋を渡り、織姫と彦星も、吾輩達のように手を繋ぐことができただろうか。
それは果して、吾輩にはわからないことではあるが───
ノハ*゚听)
ヒートは間違いなく、二人が逢えたと思っていることだろう。
終わり。