( ^ω^)はペルソナ能力を与えられたようです
──第3話 『堕ちた天使』
6 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金) 16:40:22.67
ID:x9IW/9mQ0
ξ゚听)ξ「おばさん、ありがとうございました」
J(
'ー`)し「いいのよツンちゃん、おやすみね」
ツンを送り、再び発進する。
ブーン、ツン、そしてドクオの家は近い。
次はドクオを送る番だ。
J(
'ー`)し「ツンちゃん、美人になったわねぇ」
その途中、カーチャンがしみじみと言った。
J(
'ー`)し「ねぇブーン、そう思わない?」
(;^ω^)「おっ よくわかんないお…」
('A`)「おばさん、こいつは鈍いからだめです」
J(
'ー`)し「そうねぇ…トーチャンに似たのかしらね?」
そう言って、カーチャンは静かに笑った。
( ^ω^)「トーチャンも鈍感だったのかお?」
7 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
16:42:30.40
ID:x9IW/9mQ0
ブーンは父親の顔を知らない。
死んだわけではないのだが、ブーンが幼い頃から仕事で単身赴任していると聞かされていた。
だからたまに母がする父の話が、ブーンは好きだった。
J(
'ー`)し「そうよ、カーチャンも苦労したのよ」
父親の話をする母の顔もまた、優しかった。
J(
'ー`)し「ツンちゃんも、苦労しそうね」
( ^ω^)「そうなのかお?」
カーチャンの言葉に、ブーンは素で質問を返す。
それを見てドクオが、
('A`)「…ほんと、そうですね…」
呆れたように言った。
J(
'ー`)し「ふふっ これじゃ孫の顔は当分先になりそうね」
(;^ω^)「おっ? あうあう…」
カーチャンとドクオに取り残され、ブーンはわけがわからずに頭の上に?を浮かばせていた。
8 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
16:44:45.93 ID:x9IW/9mQ0
('A`)「それじゃあ、ありがとうございました」
J(
'ー`)し「また遊びに来てね おやすみなさい」
ドクオを送り、次は我が家へと向かう。
車内は無言。
ブーンは今日の出来事を思い出していた。
現実離れをしすぎた光景が浮かぶ。
フィレモン、化け物、そしてペルソナ。
ペルソナを呼んだ時に昂っていた感情。
あんなものが自分の中にいたというのに、恐怖はまったく感じなかった。
自分の全てを満たされたような、充実感。
感じたのはそれだけだった。
しかし全てが終わって落ち着いた今は違う。
この世ならざるモノへの恐怖が、重く圧し掛かる。
ツン達といた時はそれほどでもなかったが、一人になると途端に不安に駆られたのだ。
そんな時、ブーンの携帯が鳴った。
10 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
16:47:21.74
ID:x9IW/9mQ0
通知には、ショボンの名前。
ブーンは少し安心して、電話に出る。
( ^ω^)「ショボンかお?」
『ああ、今家かい?』
( ^ω^)「まだ途中だお どうしたんだお?」
『ちょっとね 今日のことで一つ、手掛かりがつかめそうなことがあるんだ』
(;^ω^)「ほんとかお?!」
驚き、思わず大声を出してしまう。
カーチャンがその声に驚いていた。
(;^ω^)「あ…それで、手掛かりってなんだお?」
『うん クーとジョルジュには話したんだけど、明日学校で話すよ ドクオとツンにも居てほしいし』
( ^ω^)「わかったお」
ブーンは少し残念そうに返事をした。
11 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
16:49:52.75
ID:x9IW/9mQ0
『それじゃ、今日はおやすみ』
( ^ω^)「おやすみお」
静かに、電話を切った。
J(
'ー`)し「お友達?」
( ^ω^)「そうだお 明日のことでちょっと」
J(
'ー`)し「文化祭、近いもんね 大変だろうけど頑張りなさいよ」
( ^ω^)「ありがとうだお」
どうやら文化祭の関係だと思ったらしい。
しかしブーンは素直にお礼を言った。
母には、余計な心配をかけたくなかったのだ。
尤も、話したところで信じられるはずもなかった。
一息つき、視線を窓の外へと移す。
空には欠けた月が顔を出し、星達が輝いていた。
それを見てまたブーンは、フィレモンのことを思い出す。
どうやら今日は、何をしてもあの事を思い出してしまうらしい。
そんな事を思って、ブーンは苦笑した。
12 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
16:50:38.72 ID:x9IW/9mQ0
第3話『堕ちた天使』
13 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
16:52:06.06
ID:x9IW/9mQ0
( ^ω^)「おはようだおー」
気の抜けた挨拶をしながら、ブーンは朝の喧騒に包まれた教室に入る。
クラスメイト達は皆親しい友人とグループを作り、談笑していた。
ブーンの席でも他のクラスメイト達と同じ様に、ショボン達が集まっていた。
しかしとても、談笑しているような雰囲気ではない。
一息ついて、自分の席へと向かう。
( ^ω^)「おはようだお」
ξ゚听)ξ「おはよ 相変わらず遅いわね」
川
゚
-゚)「ま、いつものことじゃないか」
('A`)「しょうがねぇさ」
あんなことがあったのだから。
それは言わなかった。
( ^ω^)「で、ショボン」
鞄を置いて早々に、ブーンはショボンに声をかけた。
15 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
16:54:43.28
ID:x9IW/9mQ0
( ^ω^)「昨日の話を聞かせてほしいお」
(´・ω・`)「ああ、そのことなんだけど、ゆっくり話したいから昼休みにでも」
('A`)「おいおい、お預けかよ」
(´・ω・`)「ごめんよ それに…確信はないから、あまり期待はしないでほしい」
ξ゚听)ξ「でも、何もわからないよりはマシだわ」
( ^ω^)「だおだお ちょっとのことでも気が楽になるお」
('A`)「クーは聞いたんだよな?」
川
゚ -゚)「ああ、聞いたぞ」
ξ゚听)ξ「どうなの? 聞いた手応えとしては」
川 ゚
-゚)「私としては…確実に何かを知っていると思うな」
( ^ω^)「知ってる? 誰がだお?」
川 ゚
-゚)「それはだねワトソン君」
17 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
16:57:55.30 ID:x9IW/9mQ0
クーが探偵を気取り、言葉を続けようとした時…
/ ゚、。
/「お静かに、主は嘆いています」
担任が教室に現れた。
川 ゚
-゚)「むぅ…残念だ ではさらばだワトソン君」
キャラと期待を引っ張ったままに、クーは席へと戻って行った。
そんなクーを見て苦笑し、ツン達も席へと戻って行く。
全員が席に着いたのを確認すると、担任は出席を取り始めた。
/
゚、。
/「迷える子羊達よ 神聖なる太陽の恵みに感謝し、今日も罪を犯すことなく……
「あー、安西ー」
途中から副担任が出席を取り始めた。
ブーンはそんなやり取りから視線を変え、窓の外を見る。
昨日の出来事などまるでなかったような、平和な青空が広がっていた。
秋の日差しはポカポカと、温かい。
今日もよく眠れそうだ。そんなことを思っていた。
18 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
17:01:00.82
ID:x9IW/9mQ0
昼休み。
ξ;゚听)ξ「呆れた…」
(´・ω・`)「まぁ…昨日はよく眠れなかったんじゃないかな…」
('A`)「寝てるのはいつものことだろ…しかし気持ちよさそうだな」
座ったまま爆睡しているブーンを見ながら、皆が呆れていた。
しかし今日は、ぐっすり寝かせておくことはできない。
('A`)「ツン先生、お願いします」
すると、ツンは鞄からスリッパを取り出し、それで豪快にブーンの頭を叩いた。
スパァーン! と、気持ちのいい乾いた音が、教室内に響き渡る。
ブーンは一瞬体を震わせ、のっそりと顔を上げた。
( ´ω`)「お……おはようだお」
痛がる素振りを見せずに、普通に起きた。
('A`)「なんでその起こし方で普通なんだよ…」
19 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
17:04:28.69 ID:x9IW/9mQ0
(´・ω・`)「ふふっ 流石と言うか、なんというか」
川 ゚
-゚)「あんまり面白くなくなってきたな 別のパターンを見てみたい」
ξ゚听)ξ「そんなものないわよ さぁ、早くいくわよ」
( ^ω^)「おっ 腹減ったお 早くいくおー!」
弁当をさっと取り出し、一目散に教室を出るブーン。
ツン達はやれやれと言った表情で後に続いた。
泰炎祭の準備に取り掛かった日から、ブーン達は空き教室(あてがわれた教室)で昼食を取っていた。
手作りながら立派な内装をしている教室で食べる昼食は、外で食べるちょっとしたランチといった感じだ。
ブーン達が着いた時、そこにはいつも一番に居るはずのジョルジュはまだ来ていなかった。
( ^ω^)「おっ?」
ξ゚听)ξ「あら? ジョルジュがいないなんて珍しいわね」
('A`)「今日も雷が落ちるんじゃないか?」
冗談を言いながら、そのうち来るだろうとクーが言い、先に昼食を食べることになった。
20 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
17:07:46.52
ID:x9IW/9mQ0
('A`)「で、ショボン」
(´・ω・`)「うん?」
('A`)「食いながらでもいいだろ? 聞かせてくれよ」
(´・ω・`)「うん まぁジョルジュには話してあるからいいか」
( ^ω^)「はひゃくはにゃしてきゅれうお」
ξ#゚听)ξ「行儀悪いわよ」
言葉と同時に頭を叩かれ、ブーンは口の中の物を飲み込んだ。
それを見て、クーがクスリと笑う。
そしてショボンが、話しだした。
(´・ω・`)「昨日、ある人に、違和感を感じたんだ」
('A`)「違和感? 誰だ?」
(´・ω・`)「ああ」
一呼吸おいて。
(´・ω・`)「アザピー先生さ」
22 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金) 17:11:42.16
ID:x9IW/9mQ0
同時刻、保健室───
(-@∀@)「私に用とは?」
( ゚∀゚)「昨日のことです」
昼休みの喧騒がうっすらと聴こえる保健室。
ジョルジュはアザピーの姿を見つけると、すぐさま質問をした。
(-@∀@)「んん? まぁとりあえずそこに座って」
そう言って空いていた椅子を指さす。
ジョルジュは何も言わずに着席した。
(-@∀@)「それで、昨日のと言うと?」
( ゚∀゚)「病院でのこと、ですよ」
(-@∀@)「ううん? 私はあの時のことはあまり覚えては…」
_
( ゚∀゚)「覚えてるでしょ」
まるで当たり前のことのように、言い放った。
23 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
17:15:18.33
ID:x9IW/9mQ0
(-@∀@)「……なぜ、そう思うのですか?」
( ゚∀゚)「頭の傷は大丈夫ですか?」
(-@∀@)「んん? 不思議と傷は消えていましたよ」
( ゚∀゚)「じゃあ、その傷はどこでついたんですか?」
(-@∀@)「だから…覚えてないんですよ」
_
( ゚∀゚)「じゃあなんで、傷が治ったってわかるんですか?」
その質問で、アザピーが沈黙した。
ジョルジュは構わず言葉を続ける。
( ゚∀゚)「ツン達が治療を終えた後に、あの耳鳴りが聴こえた」
( ゚∀゚)「だから、傷があることすら忘れてなきゃいけないはずだ」
(-@∀@)「……」
( ゚∀゚)「だけど、先生は傷は治ったと言った」
25 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
17:18:21.46 ID:x9IW/9mQ0
_
( ゚∀゚)「おかしくないですか?」
いつの間にか、遠くに聞こえていた喧騒も、聴こえなくなっていた。
沈黙が続く。
やがて。
(-@∀@)「君はたしか……」
空気が、変わった。
26 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
17:21:38.12
ID:x9IW/9mQ0
(´・ω・`)「と、言うわけさ」
(;^ω^)「ショボンすごいお…」
ξ;゚听)ξ「あの騒ぎの後でよく…」
(;'A`)「なるほどな…そう言われてみると、おかしいな」
ショボンから話を聞いた3人は、感嘆すると同時に困惑した。
もしこの話が本当なら。アザピーは何かを知っている。
そしてもし、アザピーが全てを行ったのだとしたら、それは一体何故なのか。
何にせよ、アザピー本人に聞かなければわからないことだ。
(´・ω・`)「話した後に、皆で聞きに行こうと思ってたんだけど…ジョルジュがこないね」
( ^ω^)「うーん…ジョルジュがこないなんて今までなかったお…」
('A`)「腹壊して、ずっとトイレだったりしてな」
(´・ω・`)「ちょっと教室をみてこようか」
言ってショボンが立ち上がった、その時。
28 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
17:24:39.56
ID:x9IW/9mQ0
ドクン───
(;^ω^)「!」
ξ;゚听)ξ「これ…」
('A`)「昨日と…同じだ」
それは警告。心の海に眠る者の、声。
川
゚
-゚)「まさか…この学校で?」
真っ先に、ブーンが空き教室を飛び出した。
(;^ω^)「!? あっちだお!」
廊下に出て、ブーンがその方向を指さす。
ペルソナが感じているのだ。その波動の居場所を。
ツン達も急いで教室を飛び出す。そして一斉に駆け出した。
廊下で雑談をしていた生徒達が驚いてブーン達を見る。
そんな事はお構いなしに先を急いだ。
そして途中から気付く。
自分達が目指している場所に───
30 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
17:28:14.03
ID:x9IW/9mQ0
(-@∀@)「ペルソナがまだ、目覚めていませんでしたね」
(;゚∀゚)「?!」
座ったまま前かがみになり、分厚いレンズ越しにジョルジュを真っ直ぐ見つめる。
アザピーの足元では、黒い影が、闇が、蠢いていた。
(-@∀@)「丁度いいです」
それはブーン達と同じ徴候。
(-@∀@)「目覚める前に、殺してあげます」
ペルソナの、召喚。
アザピーの足元で蠢いていた影が、一気に膨れ上がり、真っ黒な柱を作りだす。
『ペルソナ』
柱の中から、アザピーの無機質な声が聴こえた。
31 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
17:31:37.16
ID:x9IW/9mQ0
黒い柱にヒビが走り、それは全体に広がっていった。
『来れ、アザゼル』
乾いた音を立てて、柱が割れた。
黒い雪と共に現れた者は、変わらず座り続けているアザピーと、漆黒の堕天使。
全身を黒いローブで包み、唯一露出している腕は、血のように赤い。
顔の見えないローブの奥にある瞳は、果たして何を映しているのか。
神の如き強者、アザゼル。
(;゚∀゚)「くっ…!」
その姿を見て、ジョルジュは大きく後ずさる。
ペルソナの声は、未だ聴こえない。
(-@∀@)「まったく、君達に驚きましたよ」
怯むジョルジュが可笑しいのか、アザピーは口元を吊り上げながら言った。
(-@∀@)「まさか全員が覚醒スるなんて、思ってませんでした」
34 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金) 17:35:03.47
ID:x9IW/9mQ0
(-@∀@)「これ以上、邪魔な存在が増えると厄介ですから…」
下を向き、大きく息を吐いた。
そしてゆっくりと、顔を上げる。
その目の色は、狂気。
(-@∀@)「お前はここで死ね」
アザゼルが、黒い巨大な翼を広げた。
(-@∀@)『ガル』
静かに言霊を紡ぐ。同時に、アザゼルから風の刃が放たれる。
(;゚∀゚)「チッ!」
咄嗟に横に跳び、刃をかわす。
しかし刃は、ジョルジュの左肩を掠める。
風がふっと、通り抜けて行った感触。
ジョルジュが感じたのは、その程度だった。
35 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
17:38:07.63 ID:x9IW/9mQ0
(; ∀
)「ぐあっ!?」
なんてことはない。そう思った瞬間、激痛がジョルジュを襲った。
骨には届いていないようだが、左肩がぱっくりと裂け、勢いよく血が噴出した。
しゃがみこみ、激痛に耐えながら、傷口を右手で抑える。
(;
∀
)「ああああぁぁぁぁああ!!」
(-@∀@)「ヒャハハッ! いい声で鳴きますねぇ! もっト声を聴かせて下さい!」
狂喜。
苦痛に叫ぶジョルジュが、アザピーには玩具のように見えていた。
立ち上がり、ジョルジュに近づく。
(-@∀@)「さぁ、見せて下さいよ 悪足掻きを!」
押さえている右手の上から、傷口を蹴った。
(;
∀ )「がぁっ……ああああああああぁぁぁぁああああ!!!」
(-@∀@)「ヒャハハハハハハ!! これはいい! 最高の玩具です!」
36 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
17:40:51.54 ID:x9IW/9mQ0
(; ∀
)「ぐあっ…う…」
苦痛に歪むジョルジュ。
(-@∀@)「まぁ…勿体無いですが…早くしないとお友達もキそうですから」
(;
∀
)「て、てめぇ……!」
(-@∀@)「そろそろ止めを刺しておきます 大丈夫、お友達もすぐに逝きますよ」
お友達───
(#゚∀゚)「てめぇ! ブーン達に手を出したらぶっ殺す!!」
(-@∀@)「まだそんな虚勢が張れるんですか」
アザピーを睨みつけるジョルジュ。
それが彼にできる、精一杯の抵抗だった。
(-@∀@)「君には力がなかった それだケです」
静かに、アザピーが腕を上げた。
40 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
17:44:30.09
ID:x9IW/9mQ0
(;^ω^)「ジョルジュ?!」
勢いよく扉を開け、ブーンが保健室に現れた。
その瞬間、アザピーは冷徹な笑みを浮かべ…
(-@∀@)『ジオ』
言霊を紡いだ。
アザゼルから放たれた雷撃をまともに受けるジョルジュ。
ジョルジュは小さく痙攣し、そのまま前のめりに倒れた。
実に、呆気なく。
( ゚ω゚)「ジョルジューーーーーーーーーーーーー!!!!!」
それを見たブーンが叫ぶ。
そして視線をすぐに変え、
(#゚ω゚)『ペルソナァァァァァア!!』
44 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
17:48:45.67
ID:x9IW/9mQ0
怒りを業火に変え、呼び出されるスヴァローグ。
(#゚ω゚)『アギ!!』
放たれた火炎。アザピーが炎に包まれる。
自分を芯に渦巻く炎の中で、
(-@∀@)「なんと温い…」
平然とした顔で立っていた。
(;^ω^)「なっ…?!」
(-@∀@)「目覚めたばかりだとこの程度か…」
呟き、ため息をつく。
「じゃあこれならどうだ」
不意に、ブーンの背中から声がした。
(#'A`)『グライ!』
炎の中で余裕を見せていたアザピーに叩きつけられる重力。
45 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
17:51:57.68
ID:x9IW/9mQ0
床がへこみ、同時に炎もその圧力に潰された。
しかしアザピーは、平然とした様子だ。
(;'A`)「効いてねえ…?!」
(-@∀@)「魔法には相性がある 一つ、勉強になりまシたね」
見せつけられる、余裕。
(#^ω^)「うるせえお!!」
(#'A`)「ジョルジュをやられて、黙ってられるか!!」
(#^ω^)『アギ!』
(#'A`)『グライ!』
がむしゃらに力をぶつける。
(-@∀@)「やれやれ…」
それをまったく問題にしないアザピー。
それは、子供が父親にじゃれているようなものだった。
47 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金) 17:54:19.62
ID:x9IW/9mQ0
(´・ω・`)「ツン、クー 今のうちにジョルジュに回復を」
ξ;゚听)ξ「う、うん」
クーはすでに動いていた。ツンもそれに続く。
川
゚
-゚)『ディア』
ξ゚听)ξ『ディア』
クーは体に、ツンは肩の傷にディアを唱える。
二人の女神の優しい力がジョルジュを包んだ。
(´・ω・`)「さて…」
ゆっくりと、ブーン達に近づくショボン。
二人は相変わらず、延々と力をぶつけていた。
効かないと、わかっていても。
(´・ω・`)「やってくれたね、アザピー」
余裕の表情で佇むアザピーに、話し掛けた。
48 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
17:58:02.61
ID:x9IW/9mQ0
(-@∀@)「うん? 君は冷静なようダね」
少し嬉しそうな表情で、ショボンの方を向く。
(´・ω・`)「あの病院の騒ぎも、仕組んだのはお前か?」
(-@∀@)「さてどうだろうね 君は怒らないのかい?」
(´・ω・`)「そんなわけない すでにハラワタは煮えくり返ってる」
(-@∀@)「気付いたのは…ジョルジュ君じゃなくて君だね? ショボン君」
(´・ω・`)「ああそうだ」
(-@∀@)「なかなかの洞察力だ 褒めてあげるよ」
言って、口端を吊り上げる。
それを聞いたショボンは、小さく息を吐くと。
(´・ω・`)「反吐が出る」
50 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
18:00:50.36
ID:x9IW/9mQ0
(´・ω・`)『ペルソナ』
そして呼び出す、ヤマ。
(´・ω・`)「お前の剣は、飾りじゃないだろう」
言って、アザピーを力強く指さした。
(´・ω・`)「その剣を、見せてくれ」
ヤマが飛び、その剣を脇に携え、アザゼルに迫る。
間合いに入った瞬間、真横に薙ぎ払われる剣。
(´・ω・`)『一文字斬り』
剣は確かに、アザゼルの顔の部分を通過した。
同時に、アザピーの頬に一筋の浅い切り傷が浮かぶ。
(ノ-@∀@)「…ほう……」
それを見て、ブーンとドクオは続けていた攻撃をやめる。
(;^ω^)「はぁっ…はっ……き、傷が…」
53 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
18:03:37.99
ID:x9IW/9mQ0
(´・ω・`)「やっぱりそうか…」
(;'A`)「はっ…はっ…どういう…ことだ…?」
(´・ω・`)「ペルソナへのダメージは、術者に蓄積される」
(ノ-@∀@)「素晴ラしい…その通りです」
(´・ω・`)「……ペルソナを使いすぎると、体力も消耗するようだね…」
ショボンがブーンを見て言った。
実際二人は、肩を大きく上下させ、息切れしていた。
(´・ω・`)「ブーン達にあれだけ攻撃をされて無傷な所を見ると…」
(´・ω・`)「ペルソナの耐性能力は、術者にそのまま適用される」
(ノ-@∀@)「ヒャハッ…! 素晴らしいよ! 君は!」
アザピーが心の底から喜ぶように称賛した。
その時、ジョルジュの体が少し動いた。
56 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
18:06:40.08
ID:x9IW/9mQ0
(ノ-@∀@)「実に…残念です…」
アザゼルが両手を上げる。
(ノ-@∀@)「この場で殺スのが」
言うと、アザゼルの頭上に小さな光球が出来始めた。
それは段々と大きくなり、やがて人よりも、大きくなった。
時折雷のようなものが、光球に走るのが見える。
それは巨大な、雷球だった。
アザゼルの真っ赤な両腕に支えられたそれは、まるで血の涙を流しているようにも見えた。
(;´・ω・`)「これは…まずい…」
冷静だったショボンに焦りの色が浮かぶ。
ブーンとドクオもわかっていた。
これがどれだけ強力な物なのかが。
(
∀ )「に……………ろ……」
58 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
18:09:58.10
ID:x9IW/9mQ0
ジョルジュが何かを、言った。
しかし、それを掻き消す残酷な力が、放たれる。
(ノ-@∀@)「遊びは終わりです」
轟き、激しく光りだす雷球。
そしてそれは、紡がれた。
(ノ-@∀@)『マハジオンガ』
その言霊を合図に、雷球から凄まじい雷が放たれる。
その威力は、ジョルジュを襲った物とは比べ物にならない。
(;'A`)「ぐぁっ……があああぁぁぁぁっ!」
(;゚ω゚)「ドッ…あああああぁぁぁぐぁっ!」
直撃を受け、倒れる。
(;´・ω・`)「くそっ! まさかここまでだなんて…!」
ショボンは焦り、ジョルジュを治療していたツンとクーを見る。
60 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金) 18:13:08.73
ID:x9IW/9mQ0
(´・ω・`)「二人はジョルジュを連れて逃げるんだ!」
ξ;゚听)ξ「で、できるわけないじゃない!」
川;゚
-゚)「ジョルジュを治したら私も戦うぞ!」
(´・ω・`)「だめだ! 今のままじゃ話にならない! 今はにげっ…!」
言いかけ、ショボンの背中を強烈な雷撃が襲った。
(;´・ω・`)「ぐああああぁぁぁぁっ!」
苦痛に顔を歪ませ、崩れ落ちるショボン。
それを悲痛な表情でただ見つめるだけの、ツンとクー。
何もできない。
アザピーには、勝てない。
(ノ-@∀@)「さよならです」
そして再び、構成される雷球。
64 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
18:16:55.65
ID:x9IW/9mQ0
(ノ-@∀@)『マハジオンガ』
迸る雷。それは真っ直ぐにツンとクーを捉えた。
ξ;゚听)ξ「きゃああああぁぁぁぁぁあああっ!」
川;゚
-゚)「ぐっ…あああっ…!」
一瞬だけ、凄まじい衝撃が二人を襲い、悲鳴が終わると同時に、倒れた。
残ったのは、静寂。
(ノ-@∀@)「……」
アザピーは横たわるジョルジュを、じっと見つめていた。
未だアザゼルを呼び出したままで。
(ノ-@∀@)「……さぁ、どうするんです? 止めを刺してしまいますよ」
「………けん……じゃ…」
67 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
18:19:40.89
ID:x9IW/9mQ0
(ノ-@∀@)「君が一人で来タから、仲間は焦った」
……そうだよ
(ノ-@∀@)「君がやられたから、冷静さを失った」
………わかってる…んなこたぁ……
(ノ-@∀@)「なぜきたンです? 一人で」
…………
(ノ-@∀@)「大方、自分だけペルソナを呼べナかったから、嫉妬したのでしょう?」
………そうだよ……
(ノ-@∀@)「くだらない……さて、君の仲間を殺しますよ」
………やめ…ろ……やめろ………やめろ!
やめろ!やめろ!やめてくれ!!
やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ!!!!!
70 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/03(金)
18:22:00.81
ID:x9IW/9mQ0
(#゚∀゚)「やめろおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉおおおお!!!!」
叫び、立ち上がり、アザピーを睨みつける。
満身創痍。立っているのがやっとな状態だった。
しかし、さっきまでの睨むことしかできなかったジョルジュではない。
ジョルジュにはすでに、力がある。
そしてジョルジュは、その存在を確信していた。
だから彼は叫んだ。
(#゚∀゚)『ペルソナァァァ!』
自分の中の、もう一人の自分を呼ぶ為に。
仲間を、救う為に。
続く。