( ^ω^)はペルソナ能力を与えられたようです
──第5話 『古き偏四角多面体』
5 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木) 18:46:20.88
ID:aqJ5LMiW0
木々に囲まれた山は、すでに闇の世界だった。
その中を進む、一人の男。
(-@∀@)「やはり……尋常でない警備…」
木の蔭からアザピーが、一点を見つめながら呟いた。
その視線の先では、銃を携帯した物々しい警備員達と、一つの洞窟。
(-@∀@)「警備員はどうにかなるにしても……あれは……」
洞窟から涌き出る禍々しい気。
ペルソナ使いである彼は、そちらに意識をとらわれていた。
(-@∀@)「このまま留まっていても、仕方ない、か」
アザピーは呟いて、ゆっくりと歩き出した。
幸いここは山中。隠れる場所はいくつもあった。
やがて洞窟の入口付近に辿り着く。
(-@∀@)『ペルソナ……』
6 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
18:49:22.15
ID:aqJ5LMiW0
ギリギリの間合いで、アザピーはアザゼルを召喚する。
(-@∀@)『ドルミナー』
紡がれた言葉。
アザゼルからリング状の超音波が放出される。
そしてそれが警備員達に触れると、次々に倒れていった。
(-@∀@)「よし……」
意志の弱い者を、深い眠りへと誘うドルミナー。
警備員達が全員眠りに入ったのを確認すると、アザピーは洞窟の入口に立った。
広がるのは、ただただ闇。
この世の全てを拒み、否定するような暗黒。
しかしアザピーには、その闇がまるで手招きをしているように見えていた。
(-@∀@)「……」
意を決し、闇の中へと足を踏み入れる。
ここは鳴留羅山。
5年前、トンネル工事が中止された場所だった。
7 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
18:50:45.61 ID:aqJ5LMiW0
( ^ω^)はペルソナ能力を与えられたようです
第5話『古き偏四角多面体』
8 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
18:53:25.94
ID:aqJ5LMiW0
※
( ´∀`)「伝承、というか一種のお伽話ですかね」
話はこの地の成り立ちまで遡ります、と、モナーはゆっくりと語り始めた。
………
皆さんもご存じのように、字都市は5つの区にわかれています。
鳴留羅を中心に、東西南北それぞれ、
津阿都、覇洲、玖都留、そして紅都亜。
伝承では、これらの区それぞれに、その地を治める神がいると言われています。
そして、その上に、全体を統治する字都の神がいます。
遥か昔、この地に降り立った5人の神がいました。
鳴留羅、津阿都、覇洲、玖都留、紅都亜の神々はこの地に人間を住まわせ、
誰が最も繁栄させることができるか勝負を始めました。
勝負というか、彼等にとってはゲームですね。
5つの町は拮抗していました。まったくの互角です。
勝負はなかなかその終わりを見せず、皆が飽いてきた頃……
鳴留羅の神が、禁を犯しました。
10 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
18:55:44.93
ID:aqJ5LMiW0
神はいかなる手段でも他の地に干渉してはならない。
それがそのゲームのルールでした。
しかし鳴留羅の神は、北の紅都亜に住む人間を誘惑したのです。
鳴留羅の神の力の源は、いわゆる負の感情。
人間のネガティブな感情…怒り、恨み、妬み等。
人が最も生み出しやすい感情です。
鳴留羅の神は自分の力の源であり、操り易いそこに目を付けました。
知恵の少ない純粋な古代人達は、鳴留羅の神によってその心を悪に染めてしまいました。
紅都亜の地では殺人、強奪、そして他の地への侵略が横行し、最早秩序などありません。
それに気付いた紅都亜の神は激昂しました。
禁を犯したのですから、他の3人も黙ってはいません。
4人の神は結託し、鳴留羅の神をこの世から滅しようとしました。
しかし、5つの地に蔓延した負の感情のせいで、鳴留羅の神はその力を増幅させていました。
12 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
18:58:47.58
ID:aqJ5LMiW0
戦いは熾烈を極め、数百年続いたとも言われています。
やがて、それを見かねた5人の神の頂点に座する神が現れました。
その神、字都の神は怒り、鳴留羅の神とその力を呼ぶ箱を、大地の奥深くに封印しました。
そして、4人の神にこう命じたのです。
争いの根元は絶った。汝らはこの地に留まり、それを鎮めろ、と。
4人の神はそれに従い、各々の地にその身を埋め、鳴留羅の神の力を抑える要となりました。
生き残った人々はそれぞれが信仰した神の地で再び生活を始めました。
そしてその地を、神の名をもじり地名としました。
それが今の五区。鳴留羅、津阿都、覇洲、玖都留、そして紅都亜。
その5つを統合した地名を、5人の神の更なる上位の神をもじった名、字都としました。
それが、この地と地名の発祥と言われています。
……………
13 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
19:01:19.19
ID:aqJ5LMiW0
モナーの突然のお伽話を聞いたブーン達は、ぽかんとしていた。
(´・ω・`)「そんな話は……聞いた事が……」
( ^ω^)「……びっくりしたお……」
( ´∀`)「一部のこういう神社の者や、専門の考古学者くらいしか知りませんから」
(´・ω・`)「でも、なぜそんな話を?」
モナーは少し目を細めた後、静かに言った。
( ´∀`)「もし……この話が事実だとしたら?」
少しの沈黙。そして、
(;゚∀゚)「いやいやそれはないんじゃ……」
ξ;゚听)ξ「うーん……昨日から不思議なことばっかりだけど、さすがに……」
(´・ω・`)「ちょっと事実だって言う根拠が……」
( ´∀`)「そうですね 私もお伽話だと思っていました」
14 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
19:04:08.06
ID:aqJ5LMiW0
( ´∀`)「5年前までは、です」
(´・ω・`)「5年前……」
('A`)「アザピー先生も言ってたけど、V高の建設が始まった頃か…?」
( ´∀`)「皆さんは、アサピーからモララーの事を聞きましたか?」
(´・ω・`)「はい」
( ´∀`)「5年前に鳴留羅山にトンネルが通るという話を聞いた事はありませんか?」
川
゚
-゚)「父が通勤が楽になるなんて話をしてたのを、聞いた事があります」
( ´∀`)「はい 結局トンネル計画は中止になりましたが……」
('A`)「確か今も、工事中みたいで立ち入り禁止になってた気がするぜ」
( ´∀`)「モララーが立ち入り禁止にしているのです」
(´・ω・`)「……何の為に…?」
15 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
19:07:02.16
ID:aqJ5LMiW0
( ´∀`)「アサピーとの調査によって、わかったことがあります」
部屋の中に緊張が走る。
皆息をのみ、モナーの次の言葉を待つ。
その時。
「お茶をお持ちしました」
部屋の外から可愛らしい声がした。
ブーン達はモナーの後ろにある戸に目を向ける。
( ´∀`)「ん、入ってきなさい」
モナーの声の後、ゆっくりと戸が開いた。
ミセ*゚ー゚)リ「失礼します」
現れたのは、巫女服が似合う可愛らしい少女だった。
ジョルジュが頬を赤らめ見とれている。
少女はブーン達一人一人にお茶を配り終えると、部屋から出て一礼し、戸を閉めた。
17 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
19:09:16.49
ID:aqJ5LMiW0
モナーがジョルジュの様子に気づき、
( ´∀`)「気になりますか?」
(;゚∀゚)「えっ? いや、なんでも」
ξ゚听)ξ「鼻の下伸ばしちゃって…」
( ^ω^)「おっおっ ジョルジュあの子にみとれてたお」
緊張の糸が切れたのか、皆がジョルジュを冷やかしだした。
( ´∀`)「あの子はここで巫女をしている、ミセリです」
( ゚∀゚)「ミセリ…ちゃん…」
ξ゚听)ξ「ちゃん……」
('A`)「ジョルジュのこの反応は珍しいな……」
ジョルジュはじっと、ミセリが去った後の戸を見つめていた。
( ´∀`)「さて、話を続けますね」
18 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
19:12:14.37
ID:aqJ5LMiW0
モナーが仕切り直し、また話を続ける。
( ´∀`)「モララーは鳴留羅山で、何かを見つけたようなのです」
(´・ω・`)「それがまさか……」
( ´∀`)「恐らく……箱です」
そしてまた、沈黙が部屋を支配した。
モナーがしたお伽話に出てきた、鳴留羅の神の力を呼ぶと言う、箱。
それが見つかったと言うのだ。
( ´∀`)「まだ正確には確認できていませんが……」
( ´∀`)「モララーが鳴留羅山に入った日から、不穏な気がこの街に漂い始めました」
皆真剣な表情で、モナーの話を聞いていた。
( ´∀`)「そして昨日、今までにない大胆な行動に移ったのです」
(´・ω・`)「それがあの、病院のことですか?」
モナーはショボンを見て、ゆっくりと頷いた。
19 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
19:14:49.61
ID:aqJ5LMiW0
( ´∀`)「モララーは何かの力を使い、死人に悪魔を憑依させたのです」
(;^ω^)「悪魔って……そんなことが……」
( ´∀`)「あの時憑依したのは、恐らく下級な、ポルターガイスト程度でしょう」
('A`)「そんなもんがいるのかって言いたいけど…実際にあれは……な」
( ´∀`)「昔、とある学校でも悪魔の出現が確認されています」
ξ;゚听)ξ「そんなことが……」
( ´∀`)「この5年間は、何かの準備期間だったのでしょう」
(´・ω・`)「そしてついに、動きだした……」
( ´∀`)「はい 不穏な気もここ数日で一気にその不気味さを増してきました」
( ^ω^)「このままだと、死んだ人にまた憑依して暴れまわるのかお……?」
( ´∀`)「いえ……あれはきっとテストです」
川
゚ -゚)「テスト?」
20 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
19:17:26.17
ID:aqJ5LMiW0
( ´∀`)「はい……」
(´・ω・`)「モナーさん、構わずに続けてください」
言い辛そうにしていたモナーを、ショボンが気遣う。
少しの間を置き、そして。
( ´∀`)「悪魔を、この地に召喚するテストです」
(;^ω^)「なっ……」
(´・ω・`)「………」
( ´∀`)「そんなことをして、モララーが何をしようとしているのかはわかりません
ですが、それを黙って見過ごすわけにもいきません」
('A`)「VIP会長……モララー……」
( ´∀`)「憑依させたのは恐らく、実体化ができなかったからでしょう」
(´・ω・`)「それが実体化したら……」
(;^ω^)「この街は……」
22 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
19:20:27.23
ID:aqJ5LMiW0
( ´∀`)「はい 大混乱に陥ってしまいます」
言われなくても、そんなことは当然わかっていた。
しかしブーン達に走る色は、戸惑いの色。
話が飛躍しすぎていた。
古代の神々の戦い。
その時に封印された物がこの世に現れ、この街に混乱を及ぼすという。
( ´∀`)「……困惑するのは当然です」
ブーン達に浮かぶ戸惑いの色を察したのか、モナーが言葉を続ける。
( ´∀`)「しかしあなた達はこのタイミングでフィレモンの声を聞き、
そしてペルソナ能力に目覚めた」
( ´∀`)「これは偶然ではありません 神があなた達を選んだのです」
アザピーと同じ事を言った。
(´・ω・`)「でも……」
23 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
19:23:11.28
ID:aqJ5LMiW0
(´・ω・`)「僕らにそんな力があるとは思えません」
( ゚∀゚)「ああ…アザピー先生にも半殺しにされたしな……」
( ´∀`)「私達はもう、成長することができません しかしあなた達は違う」
川
゚
-゚)「それはアザピー先生も同じような事を言ってました どういうことです?」
( ´∀`)「ペルソナの成長は、即ち心の成長です」
( ^ω^)「心の、成長……」
( ´∀`)「私の様な中年には、もうそれは望めません アサピーにも言えることです」
( ´∀`)「あなた達は無限の可能性を秘めています 私達はそれに期待しているのです」
( ゚∀゚)「俺達が…この街を救う……か」
( ´∀`)「この街だけではありません 結果的に、世界を救うことにもなるでしょう」
('A`)「また話がでかくなってきたな……」
( ゚∀゚)「んだけど、嫌いじゃないぜ こういうのは」
24 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
19:27:11.78
ID:aqJ5LMiW0
ドクオとジョルジュは燃えているようだった。
(´・ω・`)「いくつか質問をしてもいいですか?」
( ´∀`)「ええ勿論です 私にわかる範囲ならお答えします」
(´・ω・`)「モナーさんもフィレモンの警告を聞いたのですか?」
( ´∀`)「はい、聞きました アサピーも同じ事を言われたと言っていました」
(´・ω・`)「それで、使命感だけで動いてるのですか? 勝てないとわかっていて」
( ´∀`)「……鋭いですね」
ξ゚听)ξ「どういうこと?」
(´・ω・`)「勝てないと言うのは、相手の力がわかってるってことさ」
川
゚
-゚)「ということは……」
(´・ω・`)「うん モナーさん達は、多分モララーを知っている」
皆がモナーを見つめる。
モナーはどこか、遠い目をしていた。
25 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
19:30:30.95
ID:aqJ5LMiW0
( ´∀`)「……私とアサピー、そしてモララーは同じ高校にいました」
( ´∀`)「他にも共に行動していた友人が数名いました」
モナーは少し俯いた。
( ´∀`)「……かつての友人を、止めたいのです」
(´・ω・`)「その友人達とペルソナ様遊びを?」
( ´∀`)「ペルソナ様遊び?」
(´・ω・`)「知らないんですか?」
( ´∀`)「はい どのようなものですか?」
ショボンはペルソナ様遊びの内容を説明した。
その時ブーンは、モナーを見つめながらある事を思っていた。
( ^ω^)(自分達にできないことを、僕らにしろだって…?)
( ^ω^)(ふざけんなお……)
27 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
19:33:58.93
ID:aqJ5LMiW0
期待するのは勝手だ。しかしそれを押し付けるな。
死ぬかも、しれないのに。
そんなことを思っていた。
( ´∀`)「ううん……そのようなことをした覚えはありませんね…」
(´・ω・`)「そうですか……きっかけが違うのかな…」
( ´∀`)「生死を彷徨った事がありまして、その日から扱えるようになりました」
(´・ω・`)「なるほど……」
( ´∀`)「ペルソナに関しては謎が多いです フィレモンに会う機会もそうそうないですし」
( ゚∀゚)「おいお前、なんか知ってることないのかよ?」
ジョルジュがクーの膝の上で横になっていたJ・Fに聞いた。
J・F『オイラは何も知らないホー』
(;゚∀゚)「役にたたねー奴だな……」
ジョルジュは呆れて肩をすくめる。
28 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
19:37:11.31
ID:aqJ5LMiW0
J・F『大きなお世話ホー』
( ´∀`)「……それはペルソナですか?」
( ゚∀゚)「ああはい なんか俺のペルソナらしいです」
( ´∀`)「……変わってますね……」
( ゚∀゚)「俺もブーン達みたいなかっこいいのがよかったんですけど…」
J・F『シツレイなこというなホー オイラはそこらへんの古いペルソナと違うんだホー』
川*゚
-゚)「時代の最先端だもんな」
言いながら、クーはJ・Fの頭を撫でた。
J・F『そうだホー ナウいんだホー!」
(;゚∀゚)「お前そりゃ死語だろ……」
呆れかえるジョルジュ。
モナーは何かを考えながら、J・Fを見つめていた。
30 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
19:40:40.61
ID:aqJ5LMiW0
J・F『あ、そういえば』
突然、J・Fが何かを思い出したようにしゃべりだした。
J・F『南の方で、悪魔見たホー』
一瞬の沈黙。
そして。
(;´∀`)「え?」
(;゚∀゚)「悪魔って…まじで?」
J・F『ニンゲンには見えてなかったけど、散歩してたらみかけたホー』
(;´∀`)「まさか……すでに召喚されている……?」
川
゚ -゚)「南って、どの辺りだ?」
J・F『海が見えてたホー』
ξ゚听)ξ「海……玖都留区かしら?」
川 ゚
-゚)「多分そうだな」
31 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
19:43:52.51
ID:aqJ5LMiW0
( ´∀`)「むむ……確認してみますか……」
そう言うと、モナーは立ち上がり、
( ´∀`)「皆さんを送った後、玖都留区に向かってみます」
するとショボンが。
(´・ω・`)「モナーさん、僕も同行させてください」
( ゚∀゚)「俺もお願いします」
('A`)「おっと、俺もだ」
3人が立ち上がり、その意思を主張した。
川
゚ -゚)「私もだ」
J・Fを抱き、クーもそれに続く。
残ったのは、ブーンとツン。
33 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
19:47:03.05
ID:aqJ5LMiW0
( ゚∀゚)「ブーンも来るよな?」
ジョルジュがまるで当然と言った感じで、ブーンに言った。
少しの間を置き、
( ^ω^)「僕はちょっと、遠慮しておくお」
(;゚∀゚)「あれっ? まじかよ」
( ^ω^)「昨日から心配かけてるし、今日は大人しく帰るお」
それは体のいい、口実だった。
そんなブーンを、ツンは少し見つめて、
ξ゚听)ξ「私も今日は帰るわね」
川
゚ -゚)「む、そうか」
ξ゚听)ξ「ごめん みんな気をつけてね」
(´・ω・`)「謝ることはないさ」
34 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
19:49:26.69
ID:aqJ5LMiW0
( ´∀`)「では先ず、ブーン君達を送っていきますね」
( ^ω^)「大丈夫ですお 歩いて帰りますお」
( ´∀`)「そうですか……お気をつけて」
そうして、一同は一先ず集会所から外に出た。
木々に囲まれた境内はすでに闇。
夜の神社は、不気味な雰囲気を醸し出していた。
J・F『お化けとかでてきそうホー』
( ゚∀゚)「お前が言うな……」
J・Fの間の抜けた台詞に、ジョルジュがすかさず突っ込みをいれる。
皆がそれを見て笑った。
駐車場につき、ブーンとツンを残して皆が車に乗り込む。
( ´∀`)「それでは、気をつけてください」
35 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
19:51:46.39 ID:aqJ5LMiW0
ξ゚听)ξ「はい、モナーさん達も気をつけてください」
川 ゚
-゚)「明日学校でな」
ξ゚听)ξ「うん 明日ね」
( ^ω^)「まただお」
別れを済ませ、モナー達は玖都留区へと向かっていった。
やがて、車が見えなくなった頃に、
( ^ω^)「それじゃツン、帰るかお」
ξ゚听)ξ「うん」
ブーンとツンも、歩き始めた。
郊外にある津阿都神社周辺は、人通りが少ない。
この時間車も滅多に通らない道の路側帯を、二人は歩いていた。
ぽつぽつと、いくつもの街頭が続く。
いくつ目の街灯を過ぎただろうか、そのうちツンが口を開いた。
37 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
19:54:08.66
ID:aqJ5LMiW0
ξ゚听)ξ「ブーン…? 機嫌悪い?」
( ^ω^)「おっ なんでだお?」
ξ゚听)ξ「なんか、怒ってるみたい」
幼馴染のツンは、ブーンの心情を察していた。
本当はクー達についていきたかったのだが、ブーンが心配だったのだ。
もちろん、そんなことは口に出さないが。
( ^ω^)「……勝手なんだお」
ξ゚听)ξ「勝手って?」
( ^ω^)「自分達ができないからって、ブーン達に任せるなんて勝手すぎるお」
ξ゚听)ξ「ふーん……そういうことなのね」
( ^ω^)「ツンはおかしいと思わないのかお?」
ξ゚听)ξ「私は……」
ツンは少し考えた後、言葉を続けた。
38 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
19:56:34.93
ID:aqJ5LMiW0
ξ゚听)ξ「話が進展しすぎて……正直よくわからないことがたくさんあるわ」
( ^ω^)「それは僕も一緒だお」
ξ゚听)ξ「でも、私達にできることなら、力になりたいとは思ったわ」
( ^ω^)「……死ぬかもしれないんだお?」
ξ゚听)ξ「それはそうだけど……」
( ^ω^)「皆おかしいんだお」
ξ゚听)ξ「うーん……確かにね? 話が大きくなりすぎてると思うけど…」
ξ゚听)ξ「あの話が本当だとしたら、何かあってからじゃ遅いと思うの」
( ^ω^)「……でも、関係ないお」
ξ゚听)ξ「関係はあるわよ ペルソナ使えるんだし」
( ^ω^)「それも、フィレモンが勝手にしたことだお」
ξ゚听)ξ「……ブーン、どうしたの?」
39 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
19:59:34.90
ID:aqJ5LMiW0
( ^ω^)「……どうも、しないお」
その言葉は、これ以上の質問を拒否する雰囲気を放っていた。
ツンはそれを感じ取り、話しかけるのをやめた。
気まずい沈黙が続く。
隣を歩いているのに、ツンはブーンがとても遠く感じていた。
はぁ、とツンが大きく溜息をした、その時───
───ドクン───……
( ^ω^)「!」
ξ゚听)ξ「!」
二人の心が、ペルソナが震えた。
それはあの時と同じ、警告の証。
二人は身構え、周囲を見渡した。
人の、車の気配もない一直線の道路。
周りは森に囲まれている。
緊張が、高まる。
40 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
20:02:10.83
ID:aqJ5LMiW0
( ^ω^)「あっちだお……」
ブーンが森の中のある一点を指さした。
ツンもそちらを向く。
はっきりと、見えた。
闇の中で蠢く影の姿が。
『フフフ……』
妖艶な笑みを浮かべながら、それは現れた。
『ねぇ…そこのお兄さん……私が見えるの?』
現れたのは、二人の女だった。
しかし、それが発する禍々しい気、そして血の匂いが、人であることを否定していた。
( ^ω^)「ツン……気をつけろお」
ξ゚听)ξ「わかってるわよ」
41 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
20:04:43.31
ID:aqJ5LMiW0
『あら残念…遊んでくれないの?』
( ^ω^)「お前みたいな化け物と遊ぶつもりはないお」
ブーンの言葉に、女は沈黙した。
その反面、滲み出る負の気が膨れ上がる。
『言ってくれるじゃない……』
女が、『変化』していった。
顔が歪み、顎と鼻が嫌な音を立てながら伸びる。
やがてそれは、大きなクチバシを形成した。
女の姿で男を誘惑し、人の脳を啜る凶鳥、モー・ショボー。
『ナラ死ニナヨォォォォォ!!!』
完全に頭を鳥に変化させたモーショボーが、ブーンとツンに迫る。
42 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
20:07:00.66
ID:aqJ5LMiW0
ブーンとツンはそれぞれ左右に跳び、それを避けた。
( ^ω^)『ペルソナ!』
振り向き、モーショボーを視界に捉え、ペルソナを発動する。
( ^ω^)『アギ!』
紡ぐ言霊。スヴァローグから炎が放たれる。
『クエェェェェエエ!!』
炎をくらい、怯むモーショボー。
致命傷には至らなかったようだ。
炎が消えた後、容易ではないと悟ったのか、モーショボーは少し距離を置いた。
少しの間の、対峙。
そして、モーショボーが動いた───
45 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
20:18:30.36
ID:aqJ5LMiW0
ξ゚听)ξ『ペルソナ……スアデラ!』
ブーンとは逆に飛んだ後、着地したと同時にペルソナを発動した。
しっかりとモーショボーを見、言霊を紡ぐ。
ξ゚听)ξ『ジオー!』
ツンの言霊に応え、スアデラから一筋の雷撃が放たれる。
それは正確にモーショボーを捉え、動きを止める。
そのまま地面にうずくまり、体を痙攣させていた。
ツンは反対側でモーショボーと対峙しているブーンの方を見た。
その時。
『ケェェェ!』
うずくまっていたモーショボーが、力を放った。
見えない衝撃波がツンに迫る。
ξ;゚听)ξ「あうっ!」
46 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
20:21:31.40
ID:aqJ5LMiW0
それをまともに受けたツンは、後ろに吹き飛ばされてしまう。
吹き飛ばされながらもなんとか体制を立て直し、膝をついて着地した。
(;^ω^)「ツン!」
その時、ブーンと対峙していたモーショボーは後ろに跳んだ。
即ち、吹き飛ばされたツンに向かってだ。
ブーンは慌てて駆けだす。
( ^ω^)『火炎撃!』
ブーンはうずくまっていたツンを吹き飛ばした方のモーショボーの止めを刺した。
切り口から激しい炎を吹き出し、体中を燃やした後、やがて灰になった。
ξ゚听)ξ『……! ペルソナッ!』
もう1匹が自分に迫ってくるのを見て、ツンはすぐさまペルソナを呼んだ。
モーショボーはすでにその四肢を鳥へと変化させていた。
翼を広げ、巨大な鉤爪を立ててツンに迫る。
ξ゚听)ξ『ジオ!』
50 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
20:24:17.38
ID:aqJ5LMiW0
そしてまた紡がれた言霊。
放たれた雷撃はモーショボーを撃ち落とし、地を舐めさせた。
人気のない夜の道路に、静寂が戻った。
ξ゚听)ξ「ふぅ……」
( ^ω^)「ツン、大丈夫かお?」
ξ゚听)ξ「うん このくらいなんともないわ」
二人はゆっくりと、地に横たわるモーショボーに視線を移した。
その姿は、明らかにこの世の物ではない。
もはやブーン達は、モナーの話を信じざるを得なかった。
ξ゚听)ξ「……ねぇ、ブーン」
( ^ω^)「なんだお……」
ξ゚听)ξ「こんな奴等が現実に現れたら、本当に大変だと思うの」
( ^ω^)「………」
53 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
20:27:37.02
ID:aqJ5LMiW0
最早ブーンにもわかっていた。
しかし、おいそれと認めたくない自分がいるのだ。
ξ゚听)ξ「だから私は、モナーさんの言ったことを信じて、できることをするわ」
ツンは今の襲撃で、しっかりと決意したようだった。
ξ゚听)ξ「たとえ死んだって…何もしないまま死ぬよりはマシよ」
ブーンはただ、黙って聞いていた。
そこに一台の車が通りかかる。
眩しいライトを照らしながら、ブーン達の横を通り過ぎる。
はずだった。
『ケェェェェエエ!』
横たわっていたモーショボーが突然上体を起こし、車に衝撃波を放った。
54 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
20:30:10.27
ID:aqJ5LMiW0
車は大きく横に流され、脇のガードレールに頭から突っ込んだ。
( `ω´)『こいつ…! ペルソナッ!』
すぐさまブーンはペルソナを呼び、
( `ω´)『火炎撃!』
『ギィィィィイイイ!!』
モーショボーに止めを刺した。
灰となり、完全にモーショボーはこの世から消えうせる。
そして二人は、すぐに車へと駆けた。
幸いガードレールを突き破った所で車は止まっており、森の中まで落ちることはなかった。
(;^ω^)「大丈夫ですかお?!」
運転席を覗き、中を確認するブーン。
声に気づいて、運転席から一人の男が降りた。
(,;,゚Д゚)「あいててて……なんだったんだ……?」
56 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
20:33:57.01
ID:aqJ5LMiW0
ξ;゚听)ξ「大丈夫ですか? 怪我してませんか?」
(,,゚Д゚)「あぁ……膝打ったくらいだ 安心してくれ」
膝をこすった後、男は車を見て頭を抱えた。
(,,゚Д゚)「あちゃー…これはレッカー呼ばないとだな……」
ブーンとツンは、そんな男をじっと見つめていた。
その視線に気付いたのか、男は振り向き、
(,,゚Д゚)「そういえば君達は、こんな時間になんでまたこんなとこに?」
どうやら津阿都神社周辺は人通りが少ないことは有名なことのようだ。
周囲には山しかなく、コンビニも住宅もない。
男は当然、それを疑問に思った。
( ^ω^)「僕らはちょっと津阿都神社から帰る途中だったんですお」
(,,゚Д゚)「津阿都神社だって?」
58 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
20:36:29.55
ID:aqJ5LMiW0
ブーンの言葉に、男は少し反応した。
(,,゚Д゚)「実は俺は津阿都神社に行く途中だったんだ」
( ^ω^)「そうなんですかお」
(,,゚Д゚)「君達は神社の関係者か? こんな時間にお参りもないだろうし」
ξ;゚听)ξ「え、えっと、私達は……」
さすがに、本当のことを話すわけにもいかないし、信じないだろう。
ブーンとツンは何を言っていいか困った。
(,,゚Д゚)「ああスマン 俺はこういうもんなんだけど…」
そう言って財布を取り出し、名刺を渡す。
しかし暗くてそれはよく見えなかった。
( ^ω^)「えっと……ギ…?」
(,,゚Д゚)「ああ見えねぇか 俺はギコ 週刊スキャンダルの記者やってる」
59 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
20:40:04.86
ID:aqJ5LMiW0
週刊スキャンダル。
大胆なその名前の週刊誌は、芸能関係や政治等のスキャンダルを扱った、
名前の通りの週刊誌だ。
(,,゚Д゚)「ちょっとネタ掴んでな、今からちょっと神主に話でも聞こうとしてたんだ」
( ^ω^)「あー……モナーさんは今留守ですお」
(,,゚Д゚)「なんだって? マジか?」
( ^ω^)「はいですお」
(,;,゚Д゚)「なんだよー事故損じゃねぇか……」
(,,゚Д゚)「しっかしなんか、いきなりハンドルとられたんだけど、なんだったんだ?」
ブーンとツンは、苦笑するしかなかった。
(,,゚Д゚)「くそー タクシー呼ぶしかねぇか……」
そう言ってギコは携帯を取り出した。
( ^ω^)「あ、それじゃあ僕らは失礼しますお」
63 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
20:43:23.56
ID:aqJ5LMiW0
(,,゚Д゚)「お? よかったら乗ってくか?」
(;^ω^)「え、いや、悪いですお」
(,,゚Д゚)「そうか? どうせタクシー代は会社からでるからいいんだけどな」
(;^ω^)「おっ……」
(,,゚Д゚)「それによく見たらその服、学生だろ? 下手すると補導されちまうぜ?」
ξ゚听)ξ「ブーン、お願いしちゃう?」
( ^ω^)「うーん……それじゃあ、お願いしますお」
(,,゚Д゚)「おう 旅は道連れてなぁ! じゃあちっと待っててくれ」
ギコは少し機嫌をよくすると、電話を始めた。
ブーンとツンは顔を見合わせると少し笑い、またギコを見た。
もうペルソナは騒いでいない。
一時の現実に戻ったブーンは、落ち着いた顔をしていた。
しかし、心のどこかで、少しの物足りなさを感じていた。
それはペルソナなのか、自分なのか、よくわからない。
ブーンはツンに言われた事を思い出す。
それは今は小さなものだったが、しっかりとした意思が、ブーンの中で生まれつつあった。
66 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
20:46:08.68
ID:aqJ5LMiW0
※
長い闇のトンネルを抜け、やがて大きな空洞に出た。
周囲を見渡し、神経を研ぎ澄ませ、辺りに何もないことを確認する。
そしてゆっくりと、奥にある祭壇へ歩き出した。
祭壇の上には、何もなかった。
しかし何か、小さな箱のような物が置いてあった形跡があった。
(-@∀@)「やはり……か……」
呟き、アザピーは後ろを振り向く。
そこには。
( ・∀・)「やぁ、久しぶりだね」
(;-@∀@)「なっ……モララー……!」
モララーが、いた。
68 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
20:48:56.85
ID:aqJ5LMiW0
( ・∀・)「ひどく驚いているようだが……気配を感じなかったか?」
アザピーは確かに、気配を感じていなかった。
モララーはペルソナ使いのはず。それなのに共振すらなかったのだ。
(-@∀@)「モララー……何を考えている?」
( ・∀・)「これはこれは、久々の再会だと言うのに、随分と不躾だね」
(-@∀@)「ふざけるな お前がしようとしていることは、この世界の破滅だぞ」
( ・∀・)「やれやれ……聞く耳持たないと言った様子だな」
(-@∀@)「それはお前の方だろう」
( ・∀・)「……ところで君は、不法侵入を犯しているわけだが」
(-@∀@)「間抜けな見張りが居眠りをしてくれてね 簡単に入れたよ」
( ・∀・)「ああ、次からはもっと優秀な見張りをつけることにしよう」
(-@∀@)「……ここにあった物は、どうした?」
70 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
20:51:45.72
ID:aqJ5LMiW0
( ・∀・)「これのことか?」
そう言って、モララーは右手を差し出した。
そこには、一つの箱。
(-@∀@)「……! やはり伝承は真実の物だったか……!」
( ・∀・)「そんなことはどうでもいい」
(-@∀@)「それは人が扱える物ではない すぐにここに戻すんだ」
( ・∀・)「それはできない相談だ」
(-@∀@)「それがどれだけ危険な物か、わかっているのか?!」
( ・∀・)「勿論だよ」
モララーは平然と答えた。
( ・∀・)「鳴留羅の神……ニャルラトホテプの力を呼び、彼自身をも呼び出すことができる」
それは、偏四角多面体を意味する言葉。
( ・∀・)「神話ではこう呼ばれていたね 『輝くトラペゾヘドロン』、と」
アザピーの頬を、冷たい汗が撫でていった。
73 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
20:55:39.74
ID:aqJ5LMiW0
対峙する二人。
アザピーの視線は、モララーの右手に集中していた。
(;-@∀@)「輝く…トラペゾヘドロン……」
( ・∀・)「そう それがこの箱の名だ」
アザピーはモララーの手にある箱を見つめる。
それだけで意識を奪われてしまいそうな感覚に陥る。
( ・∀・)「おっと、あまり見つめない方がいい」
そう言ってモララーは、輝くトラペゾヘドロンをハンカチで覆った。
そうしてやっと、アザピーは我に帰る。
(-@∀@)「モララー……馬鹿な事はもうやめるんだ」
( ・∀・)「馬鹿なこと?」
(-@∀@)「知っているぞ 悪魔を召喚してこの街を混乱させようとしているだろう」
( ・∀・)「この地を……混乱にだと?」
言葉の後、しばしの沈黙。
やがて。
74 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
20:58:35.87
ID:aqJ5LMiW0
( ・∀・)「クク……ハハハハハハッ!」
高らかに笑いだした。
(-@∀@)「何を笑う……」
( ・∀・)「ハハッ 失敬 あまりに的外れだったものでね」
(-@∀@)「的外れだと?」
( ・∀・)「そうだよ この街を混乱にだと? それこそ馬鹿馬鹿しいことだ」
(#-@∀@)「では何を企んでいる!?」
ついにアザピーの苛立ちが爆ぜた。
声を荒げるが、モララーをその表情を変えない。
( ・∀・)「君に話すつもりはない」
(#-@∀@)「ふざけるな!」
言い放ち、ペルソナを発動させようとするアザピー。
( ・∀・)「ほう……」
モララーはその様子を落ち着き払って見つめていた。
76 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
21:01:27.63
ID:aqJ5LMiW0
(-@∀@)「なめるなよ 昔の私ではないぞ」
言い放ち、力を呼び起こす。
(-@∀@)『ペルソナッ…!』
呼び出されるアザゼル。
舞い落ちる黒い雪達が、闇の中へと溶けていく。
( ・∀・)「これは驚いた アザゼル……か」
(-@∀@)「私とて、今まで遊んデいたわけではない!」
( ・∀・)「ふん……いかに強力なペルソナと言えど、堕天使風情が敵うと思ったか」
(-@∀@)「私のアルカナはDEVIL、甘く見てると痛い目を見るぞ」
( ・∀・)「DEVIL……? アサピーよ、過剰な力は身の破滅を生むぞ」
(#-@∀@)「最早友の名も忘れたかッ! 私の名はアザピーだ!」
( ・∀・)「………」
猛るアザピーを、モララーは何かを考えるように見つめていた。
(-@∀@)「覚悟を決めろ 私がお前をトメる」
77 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2008/10/09(木)
21:03:50.23
ID:aqJ5LMiW0
( ・∀・)「これはこれは……案外、楽しいことは多いのかもしれないね」
(-@∀@)「……何を言っていル?」
( ・∀・)「お前は何を望む? 荒野の山羊飼いよ」
(;-@∀@)「何を言って……ル……」
( ・∀・)「君ではない 用があるのはお前だ」
モララーは「アサピー」に向かって君ではないと言った。
「アザピー」に向かって、お前だと言ったのだ。
( ・∀・)「山羊飼いでは、失礼だったかな?」
(-@∀@)「………」
( ・∀・)「お前は何を思い、何を願う」
暗闇の洞窟に、静かにモララーの声が響いた。
( ・∀・)「魔王、アザゼルよ」
続く。