( ^ω^)はペルソナ能力を与えられたようです

──第14話 『求める力』


 
 
 
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/17(土) 20:57:50.42 ID:dep1dJxx0
 
ζ(゚、゚*ζ「さようなら、内藤君」
 
 もう一度、デレは言い放った。
 別れの言葉を。未だその顔を踏みつけながら。
 
 ブーンはもう、抵抗をすることができない。
 ブーンはもう、苦痛を訴える事はできない。
 
 体は石に。しかし、石化を解かれたその顔も。
 
 ツンが今までに見た事がない、恐ろしく、冷たい静かな顔だった。
 
 それが何を意味するのか。
 
 
 『さようなら』
 
 
 冷酷なデレの言葉。
 
 それは、ツンを絶望の底に叩きつける───
 
 
ξ;凵G)ξ「いやあああああぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」
 
 永遠の、別れの言葉だった。
 
 


3 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 20:58:38.74 ID:dep1dJxx0
 
 
 
 
 

 
( ^ω^)はペルソナ能力を与えられたようです
 
 
 

 
 
第14話『求める力』
 
 
 
 
 


4 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 20:59:52.77 ID:dep1dJxx0
 
 否定したい。ブーンの死を。
 その想いが絶叫となり、飛び出した。
 
 同時に体も、動いていた。
 
 デレがいる。近づけば、殺されるかもしれない。
 
 知ったことか。
 
 ブーンを放っておけるものか。
 ブーンを一人にできるものか。
 
 己の身など、どうでもよかった。
 
ξ;凵G)ξ「ブーン!! ブーン!!!」
 
 名を紡ぐ。今まで何千、何万と呼んできた名前を。
 その度に、彼はいつも優しい顔で返事をしてくれた。
 
 どうしたんだお、と、独特の癖が混じった優しい声で。
 
 しかし返事は、重い静寂と、冷たい表情。
 
 あの優しい声は、返ってはこなかった。
 
 
 


6 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:02:17.39 ID:dep1dJxx0
 
ξ;凵G)ξ『ペルソナ!! ディア!』
 
 ブーンに駆け寄るや否や、即座にペルソナを発動し回復を施す。
 顔に乗せられたデレの足を、力の限りはたき、退かして。
 
ζ(゚、゚*ζ「……」
 
 それに機嫌を損ねるわけでもなく、デレはツンを見下ろしていた。
 
ξ;凵G)ξ「ブーン! 目を……開けて……!」
 
 願いを回復の力に乗せて、ひたすらに蘇生を願う。
 少しずつではあるが、ブーンの顔の傷が消えていった。
 
 しかし、それだけだった。
 
ζ(゚、゚*ζ「無駄だって」
 
 デレの言う通り、傷は癒えてはいくが、生気は戻らない。
 ツンが今までに感じた事のない、人の体温。
 
 
 突きつけられた、絶対的な死。
 
 
 


7 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:03:57.47 ID:dep1dJxx0
 
ζ(゚、゚*ζ「……」
 
 尚も回復を諦めないツンを見るデレの心に、ある感情が生まれた。
 
 無造作に足を上げると、そのまま足をツンにぶつける。
 手を、体を、頭を、無表情で、規則的に蹴り続ける。
 
ξメ;凵G)ξ「う……うぅ……ブーン……!」
 
 しかしツンはまったく意に介さずに、回復を続ける。
 デレなど、まるでいないものの様に。
 
ζ( 、 *ζ「…………」
 
 デレはそれが、苛立たしくて。
 自分を見ないツンが、恨めしくて。
 
 ひたすらに、蹴りを浴びせる。
 
 私を見ろ、と。そんな死体、どうでもいいじゃないか、と。
 
ζ( 、 *ζ「……諦めなよ……私を……見なよ……」
 
 ツンの声がブーンに届くことがないように。
 
 デレの声も、ツンには届かなかった。
 
 
 


8 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:06:30.66 ID:dep1dJxx0
 
ζ(゚、゚#ζ「────ッ!」
 
 怒りが、静かに爆ぜた。
 アカ・マナフの腕を伸ばし、ツンの手首を掴んで同じ目線まで吊り上げる。
 
ξメ;凵G)ξ「いやッ! 放してッ! ブーンが……ブーンが!」
 
 蹴られた時は、物理的な痛みを与えた時は抵抗をしなかったのに。
 ブーンから引き離しただけで、ツンは必死に抵抗をした。
 大切な人のことを想うならば、それは当たり前の事だ。
 
 しかしデレには、ツンのその反応が理解できなかった。
 
 『大切な人』がいないデレには、わからないのだ。
 
ζ(゚、゚#ζ「無駄だって言ってるのがわからないの?」
 
 ツンは、わからない、ではない。
 
 わかりたくない───理解したくないのだ。
 
 自分はどうなってもいい。出来得る限りの事を。
 ツンは動く事で、理解することを拒否していた。
 
 デレにはそんなツンの行動、心情が、理解不能だった。
 
 
 


9 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:08:45.88 ID:dep1dJxx0
 
ξメ;凵G)ξ「放して! 放してよッ!」
 
 J・Fの時以上に、デレを見ない。
 
ζ( 、 #ζ(なんで……どうして……)
 
 友達、クラスメイト、好きな人、果ては、父親。
 
 そして、ツン。
 
 どいつも、こいつも────
 
 
ζ( 、 #ζ「なんで……私を見ないのよぉぉぉぉぉぉおおおお!!!」
 
 
 怒号をツンに叩きつけた。一瞬驚いて、ツンは身を固くする。
 どうしたのかとデレを見つめていたが、それも少しの間だった。
 
 ツンの視線はすぐに、ブーンへと。
 
 肩を上下させ、荒い呼吸を繰り返すデレ。
 デレの瞳に映るのは、ツン唯一人。
 
 ブーンはとっくに死んでいる。それなのに。
 何故お前は、私を見ないのか、と。
 
 

 

10 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:10:20.36 ID:dep1dJxx0
 
ζ( 、 #ζ「くそッ! クソッ! 私を……なんで……!」
 
 握りしめた拳から血が滴る。
 
 爪と、指の間を這い、ポタリ、ポタリと。
 赤い点が、一つ、また一つ。
 
 
 
 黒い影───アカ・マナフが。
 
 感情を隠した、白い仮面の下で。
 
 
 笑みを浮かべた、気がした。
 
 
ζ(゚、゚#ζ『アカ・マナフ!!』
 
 デレの声に、アカ・マナフは行動で示した。
 ツンの手を掴んだ腕を振り、黒板へと放り投げる。
 
ξメ; )ξ「あぐっ!」
 
 背中を黒板に強く打ちつけ、そのままどさりと床へ倒れ込んだ。
 
 
 


11 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:12:05.83 ID:dep1dJxx0
 
ζ( 、 #ζ「ハァッ……ハァッ……」
 
 その程度では、デレの気は治まる筈もなく。
 自分の姿が、抵抗をしない存在に八つ当たりをする子供の姿と重なった。
 
 顔を上げ、這いずるツンの目には未だ、ブーンだけが。
 
 その姿を見ていると、ひどく、驚くほどに、自分が滑稽に。
 ちっぽけな存在に。鬱積した思いは、デレを自虐衝動に走らせる。
 
 デレの元々の意思が、憎悪に勝ったのだ。
 
ζ( 、 #ζ「……くっ……」
 
 額を手で抑え、俯き、ふらふらと体を揺らす。
 
 
 黒きトラペゾヘドロンの力を借りていた形ではあったが、
 アカ・マナフの発動はそれでも、デレに多大な負担を与えていた。
 
 肉体的にも、精神的にも。
 
 箱の力と、アカ・マナフによる悪思の誘惑によって膨張したデレの憎悪。
 心が乱れ、それが自我を抑えつけられなくなった今、力の均衡が崩れた。
 
 純粋な悪意であるからこそ、アカ・マナフを使役するに至ったのだ。
 
 
 


14 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:14:18.42 ID:dep1dJxx0
 
 自我との邂逅は、皮肉にも凄まじい負担をも招くことになる。
 自ら使役するアカ・マナフの悪思が激しい波と成り、流れ込む。
 
ζ( 、 ;ζ「ア………あぁ……」
 
 デレはついに膝を折り、床に手をついた。
 
 その場に佇むのは、アカ・マナフだけ。
 大罪を隠した冷徹な仮面を、デレに向けるのみ。
 宿主の苦しみに、邪神は果たして、何を思うのか。
 
ξメ;;凵G)ξ「デレ……う……ブーン……!」
 
 一瞬、デレが心配になったが、やはりブーンの事が気にかかる。
 
 
 体の苦痛に耐え、愛しい人へ手を伸ばす少女。
 
 心の苦痛に敗れ、誰にも救われず一人折れた少女。
 
 
 二人の容姿は、紛うこと無き鏡映し。
 
 しかし、心を置く世界は。
 
 残酷な程に、違いすぎていた。
 
 

 

16 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:16:33.20 ID:dep1dJxx0
 
 

 
 
( ゚∀゚)「こっちです!」
 
 前だけを向いて、必要以上の声量でジョルジュが言った。
 成すべき事を見出した事に、気が昂っている証拠だ。
 
 階段を跳ぶように駆け上がり、ジョルジュとミセリは急ぐ。
 
 上階に上がるにつれて、言い知れぬ力が大きくなっていく。
 その力は、ダイオードよりも濃い“悪”を放っていた。
 
 正体は言うまでもなく、アカ・マナフ。
 
 二人がその正体を知る術はないが、力の強大さはしっかりと、確実に。
 
ミセ*゚−゚)リ(……)
 
 感じ取っていた。
 
 だが、モナーが切り開いてくれた道を、引き返すわけにはいかない。
 
 

 

18 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:19:01.32 ID:dep1dJxx0
 
 二人の足音だけが響く閑散とした階段が続く中、やはり、ツンと同じく。
 
ミセ*゚−゚)リ(石像……? まさか……石化したとでも……)

(;゚∀゚)「…………クソッ!」
 
 不気味に横たわる石像を視界に捉えていた。
 しかし今は、それに気を取られている場合ではない。
 
 
 急げ、急げと。ペルソナが訴えかけていた。
 
 想う仲間達の危機を、報せていた。
 
 二人はその声を信じ、ひたすらに駆けた。
 すまない、皆。と、強く噛み締めながら。
 
 
ミセ*゚−゚)リ(……弱々しい力が……二つ……いえ……三つ……?)
 
 三階。ブーン達の学年の教室のあるフロアに差し掛かかろうとした時。
 ミセリは一つの強大な力の周囲にある三つのペルソナの波動を感じ取った。
 
 
 


20 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:22:42.07 ID:dep1dJxx0
 
ミセ;゚−゚)リ「……いけない! ジョルジュさん! 急ぎましょう!」
 
 その中の、一つ。
 
 最も弱々しい波動が、風に揺らぐ蝋燭の火の様に。
 今にも掻き消えようとしていた。
 
 二人はすでに、これ以上ない速さで駆けている。
 当然、急ごうと煽ったミセリ自身もそれはわかっていた。
 
 しかし、思わずそう発してしまった程に、危険な状況を予見していた。
 
 ミセリは過去に一度だけ、感じたことがあったのだ。
 今のような、消え去りそうな弱々しい波動を。
 
ミセ* − )リ(もう……あんなことは……!)
 
 あの時は、間に合わなかった。
 
 今度こそは、絶対に助ける。間に合ってみせる、と。
 
 
 今の自分は、幼い無力な少女ではないのだから。
 
 
 


22 名前:◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:24:19.02 ID:dep1dJxx0
 
 三階へと上がり、四階へ上がる階段へ向かう。
 構造上、連結している階段は一階から三階までだった。
 力の存在を感じる四階へ上がる階段は、廊下の中央に設置されている。
 
 ガラスが飛び散り、石像が横たわる異質な廊下を走る二人。
 
 
 その時。
 
 
 『ウ……アアアアァァァァ……ア……』
 
 ブーン達の教室に差し掛かろうとした時に、教室から何かが這い出てきた。
 腕だけで全身を引きずり、苦痛を訴えているような不気味な唸り声を上げ。
 
 ゆっくりと、駆ける二人を見た。
 
 
 『オンナアアァァァァァァ!!!!』
 
 J・Fに氷漬けにされたはずの、テケテケだった。
 彼の意識が途切れたことが、氷の解除に繋がっていたのだ。
 
 先の失態と、視界に入った己の敵、足のある女。
 ただのそれだけで、彼女の怒りは限界を超えた。
 
 

 

23 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:26:27.83 ID:dep1dJxx0
 
 持てる力の全てを振り絞り、腕に力を込め襲いかかるテケテケ。
 
(;゚∀゚)「チッ……!」
 
 迎え撃とうと、ジョルジュが止まる。
 
 すると、停止したジョルジュの真横を風が通り抜けた。
 
 巫女服をはためかせながら、一切の躊躇無く。
 紅白の軌跡を生み駆け抜けるは、一陣の疾風、ミセリ。
 
ミセ#゚−゚)リ「……どけ……!」
 
 
 『私の邪魔は、させない───!』
 
 
 
ミセ#゚−゚)リ『ペルソナ!』
 
 瞬時に出でし、蒼翠の女神サラスヴァティー。
 
 ミセリの想いをその身に重ね、力を放つ。
 
 
 


25 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:28:58.84 ID:dep1dJxx0
 
ミセ#゚−゚)リ『夢見針』
 
 しん、と、サラスヴァティーが羽衣を振り上げた。
 
 テケテケには、そう見えただけ。
 
 『ガッ……!?』
 
 彼女がそれを視界に捉えた時、全てが手遅れだった。
 無数の鮮やかな緑の針が、全身に突き刺さっていた。
 
 それを理解したと同時、テケテケの意識は切り離された。
 
 意識は旅立つ。永遠の、夢の中へと。
 
 
ミセ* − )リ「夢の中では、幸せになりなさい」
 
 振り返ることなくぽつり呟くと、
 
ミセ*゚ー゚)リ「ジョルジュさん! さぁ!」
 
 呆けていたジョルジュに檄を飛ばした。
 
 
 


28 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:31:01.75 ID:dep1dJxx0
 
(;゚∀゚)「あ……はい!」
 
 慌てて駆けだしたジョルジュ。
 少し警戒してテケテケの横を通ったが、要らぬ心配だった。
 
 彼女がもう、夢から覚めることは無い。
 
 
 
 それからは一言も発さずに、中央階段を駆け上がる。
 
 その頃になると、ジョルジュも感じていた。一つの弱々しい波動を。
 
 その波動、その波長から、それが誰なのかも。
 
(;゚∀゚)(ブーン……!)
 
 ブーンと、もう一つ。弱い波長を感じていた。
 
ミセ;゚−゚)リ(間に合って……!)
 
 そして最後の一つは、ゆっくりとその力を戻していっているようだ。
 だが安堵することはできない。二人は強く思い、走る。
 
 間に合え、と。
 
 

 

29 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:32:05.90 ID:dep1dJxx0
 
 

 
 
 
 
 『また……一人になるつもりか』
 
 
 ……黙れ。
 
 
 『虚勢を張る気力があるなら、立ち上がったらどうだ』
 
 
 ……うるさい……!
 
 
 『ククッ……何を躊躇う 何を迷う』
 
 
 …………
 
 
 『異なことよ』
 
 

 

30 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:34:02.01 ID:dep1dJxx0
 
 ……お前には……わからない……
 
 
 『愚かな 人の脆弱な思念など、理解するに値せぬ』
 
 
 …………
 
 
 『一つ、知っている事はあるがな』
 
 
 ………?
 
 
 『人は己の慾の為に、己が満たされる為だけに、他者を蹴落とす事だ』
 
 
 ……そんな……
 
 
 『真、異なことよ』
 
 『己を見ないのが、何だと言うのだ』
 
 『思い出せ あの女のせいで汝がどれほど苦汁を舐めたか』
 
 

 

32 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:36:18.49 ID:dep1dJxx0
 
 『思い出せ 汝が我の腕を掴んだ時のことを』
 
 
 『思い出せ 汝が抱いた悲しみを』
 
 『思い出せ 汝が抱いた憎しみを』
 
 
 『思い出せ』
 
 
 
 
 『汝が抱いた、殺意を』
 
 
 …………………
 
 
 
 再び、デレの心に闇が奔った。
 自我が闇に、呑まれて行く。
 悪意だけが、闇を纏い膨らんで行く。
 
 アカ・マナフ──悪しき思考──に、染められて行く。
 
 

 

34 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:38:49.45 ID:dep1dJxx0
 
(;゚∀゚)「ブーン!!」
 
 教室の戸を蹴破り、ジョルジュが飛び込んだ。
 立っている存在(もの)は、唯一つ。
 
 黒い肢体に黒い翼。そして、白い仮面。
 
 邪神、アカ・マナフ。
 
ミセ*゚−゚)リ「……! ジョルジュさん! あの方を!」
 
 言われずとも、駆けだしていた。
 石と化し横たわるブーンの元へ。
 
 ミセリは、ツンの元へ。
 
ミセ*゚−゚)リ「大丈夫ですか!?」
 
ξメ゚听)ξ「あ……あなたは……モナーさんの所の……」
 
ミセ*゚−゚)リ「今、治します」
 
 ミセリはツンの後ろに倒れていたJ・Fも視界にいれ、ペルソナを呼ぶ。
 
ミセ*゚−゚)リ『メディラマ』
 
 
 


35 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:41:03.88 ID:dep1dJxx0
 
 サラスヴァティーがヴィーナを奏でると、羽衣が輝きを放った。
 そこから生まれた暖かな優しい光が、ツンとJ・Fに降り注ぐ。
 
ξ゚听)ξ「あ……」
 
 驚くほど早く、ツンの体から痛みが引いて行った。
 
ミセ*゚ー゚)リ「大丈夫、大丈夫です」
 
 安心させるように笑みを向けた後に、ジョルジュの方を見た。
 
 
(;゚∀゚)「ブーン! クソッ!」
 
 床に手をつけ、ぶつぶつと呟いているデレ。
 そしてその背後に立つ、圧倒的な威圧感を放つ、アカ・マナフ。
 
 ジョルジュは一瞬躊躇はしたものの、すぐにブーンに近づいていた。
 
 デレが動く気配は、ない。
 
 そして、力任せにブーンを起こし、ミセリの元へ引いて行った。
 石の冷たい感触。しかし、それ以上に。
 
 
 


37 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:43:24.99 ID:dep1dJxx0
 
(;゚∀゚)(……うそ……だろ……?)
 
 一部だけ、石化を解かれたその顔は。
 人の色をしているはずなのに、それなのに。
 
(;゚∀゚)「ブーン! 目を開けろよ!」
 
 引きずりながら、ジョルジュはブーンに訴えかける。
 ブーンは話すことも、眉を動かすことすらもしない。
 
ミセ*゚−゚)リ「ジョルジュさん そこへ寝かせて下さい」
 
ξ;凵G)ξ「ブーン! お願い! 起きて!」
 
 治療を終えた二人が、ジョルジュに手を貸した。
 ごとりとブーンが寝かされ、ジョルジュとツンはひたすらに名を紡ぐ。
 
ミセ*゚−゚)リ「……ペルソナの呪殺呪文によって、今この方の魂はここにはいません」
 
 ミセリが両手をブーンの胸元へあてがう。
 
ミセ*゚−゚)リ「でも、大丈夫です」
 
 二人を落ち着かせる為に。

 自分に言い聞かせる様に。
 
 
 


39 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:45:36.93 ID:dep1dJxx0
 
 
ミセ*゚ー゚)リ「任せて、下さい」
 
 
 にこりと、笑った。
 
 
ミセ*゚−゚)リ『ペルソナ……!』
 
 
 再度出でる、豊穣の女神。
 羽衣をブーンにかけ、手を合わせた。
 
 
ミセ* − )リ(今の私なら……できるはず……!)
 
 
 深く、静かに息を吸い込んだ後。
 
 
ミセ*゚−゚)リ『リカーム……!』
 
 言霊を紡ぐ。
 
 
 


42 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:49:34.14 ID:dep1dJxx0
 
 この世ならざるモノの呪術による、魂の離別。
 それは限りなく死に近い物だ。
 
 しかし、同じくこの世ならざるモノ。
 即ち、ペルソナの力を以てすれば。
 肉体が無事であれば、離別した魂を再び呼び戻すことができる。
 
 
 それを行う奇跡の力、リカーム。
 
 
ミセ; − )リ(……く……っ……)
 
 
 当然精神への負担は、相応に多大な物となる。
 
ミセ;゚−゚)リ(……でもっ……やるしか……!)
 
 救いたい。ただただ、それだけを願いながら。
 ミセリは奇跡を起こす為に、戦いへと身を投じた。
 
 
 だがそこへ、先に帰還した者が一人。
 
 

 

44 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:52:14.73 ID:dep1dJxx0
 
 ゆらりと、頭を上げた。
 
 それはまるで、糸で吊られた人形の様に。
 
 人形の操者は、悪しき思考、アカ・マナフ。
 
 前髪に隠れ見えない人形の───デレの瞳には、何が映っているのか。
 
 
ζ( 、 ζ「……」
 
 
ξ゚听)ξ「……デレ……!」
 
 
( ゚∀゚)「……」
 
 ブーンを呼び戻す為、力の全てを投じているミセリを隠す様に、二人が立つ。
 
 
 『ここは絶対に、通さない』
 
 
 合致する、二人の意志。
 信念を眼差しに乗せて、デレを強く睨んだ。
 
 

 

45 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:53:37.32 ID:dep1dJxx0
 
 
 
 
ζ( 、 ζ「は」
 
 
 
 
 
 
 
ζ( ー ζ「あは」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ζ( ∀ ζ「あはははははははははははははははははははははははははははははははははは」
 
 
 


49 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:55:27.28 ID:dep1dJxx0
 
 甲高く響くデレの笑い声。
 
 否。それを笑い声と、果たして呼べるのであろうか。
 
 一語一語、確実に、確かめるように、はっきりと発音し。
 
 発した言葉を羅列したならば、笑い声にも見えたであろう。
 
 
 
 だが、聞く側にとっては、奇声以外の何物でもなかった。
 
 
ξ;゚听)ξ「……」
 
 
(;゚∀゚)「……イカレちまったのか?」
 
 
 ピタリと。
 
 ジョルジュの声で、奇声が止まる。
 
 
 

 

50 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:57:28.75 ID:dep1dJxx0
 
 
 
ζ( ー ζ「イカレる?」
 
 
 
ζ( ー ζ「ばーか とっくにイカレてるわよ」
 
 
 
ζ( ー ζ「嬉しいのよ」
 
 
 
 
 
ζ( ー ζ「私を……」
 
 
 
 
 
 
ζ( ∀ ζ「見てくれていることが!!!」
 
 

 

52 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 21:58:57.41 ID:dep1dJxx0
 
ζ( ∀ ζ『アカ・マナフ!』
 
 邪神が、翼を広げた。
 
 風に、力に、威圧感にたじろくツンとジョルジュ。
 ミセリも意識こそブーンに集中しているものの、余りの力に気が乱れてしまう。
 
ミセ; − )リ(く……危険すぎる……)
 
 自分が動けたとしても。
 
 モナーがこの場に居たとしても。
 
 果たして、止められるであろうか。
 ミセリが感じる力はそれほどに、圧倒的な物だった。
 
 
ζ(゚、゚*ζ「もう……いいわ……」
 
 
 
 
ζ(゚ー゚*ζ「皆、死んじゃえ」
 
 ざわりと、デレの影が蠢いた。
 
 
 

55 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 22:01:05.39 ID:dep1dJxx0
 
 足元から円状に広がり、両手を広げた程の幅になった時。
 その縁から黒い線が、何本も何本も。
 
 伸び、天井に突き刺さっていく。
 
 
 
 ついには線は重なり、円形の柱と成った。
 
 
 『絶望に───クルエ』
 
 
 デレの声が、室内に重く響く。
 
 
 
 
 
 『不滅の黒』
 
 
 
 
 
 瞬間、黒柱がはじけた。
 
 

 

58 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 22:04:05.61 ID:dep1dJxx0
 
 デレとアカ・マナフを中心に、闇が広がっていく。
 
 そこで終わっているのか、はたまたさらに奥があるのか。
 
 それすらもわからない、黒。
 
ξ゚听)ξ「あ……ぁ……」
 
( ゚∀゚)「こ……こりゃ……」
 
 一つだけ、二人が解るのは。
 
 
 
 恐怖だけだった。
 
 
 
ζ( 、 *ζ「闇に埋もれて、不滅の黒を彷徨え」
 
 
 虚ろな目で、冷徹に言い放つ。
 余程の力を用いたのか、支える足が震えていた。
 
 
 


61 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 22:06:14.09 ID:dep1dJxx0
 
 消耗のせいもあった。
 だが、デレを震わせた、もう一つの要因。
 
 他ならぬ、自分自身が放った力に、恐れていた。
 
 本当に、あんな闇を自分が生み出したのか。
 
 アカ・マナフと、黒きトラペゾヘドロンの計り知れない力に。
 
 
 
 恐れていた。
 
 
 
 闇は迫る。
 呆然と佇む、ツンとジョルジュへと。
 
 恐怖に呑まれた二人は、指を動かすことすらも出来ずにいた。
 
 
 このままでは───
 
 
 

 

63 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 22:08:23.05 ID:dep1dJxx0
 
 その時、二人の背後から白い風が駆け抜けた。
 
 
 ジャックフロスト。
 
 
 迫る黒と二人の間に、果敢に立ちはだかる。
 
(;゚∀゚)「おい! J・F!!」
 
 J・Fの突然の行動が、一時ジョルジュを恐怖から引き戻した。
 
(;゚∀゚)「何する気だ! おい!」
 
J・F『……逃げろホー』
 
(;゚∀゚)「馬鹿言ってんじゃねぇよ! 戻れ!」
 
 
J・F『オイラが……』
 
 
 
J・F『時間を稼ぐホ!!』
 
 
 


66 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 22:10:36.91 ID:dep1dJxx0
 
 
 
J・F『ブリザードブレス!!』
 
 力の限り、声高に。
 
 紡いだ力は、氷嵐の冷気。
 
 激突する黒と白。緩やかに伸びていた不滅の黒は、その動きを止めた。
 
 
 『…………フン……』
 
 アカ・マナフが怪訝そうな声を漏らす。
 デレが恐怖を感じた事で、不滅の黒の本来の力は失われていた。
 
 それでも、この場に居る者達を屠るには十分だと、思っていた。
 
 そのはずが、死に損ねた下等な悪魔に足止めをされている。
 
 アカ・マナフにとって、それは屈辱であった。
 
 
 



69 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 22:14:38.10 ID:dep1dJxx0
 
 拮抗する二つの力。
 
 だが、放った者には決定的な差。
 
 死力を尽くす、ジャックフロスト。
 
 片や、拳を突き出す程度の力で放った、アカ・マナフ。
 
 言わずもがな、J・Fの分は悪い。
 
(;゚∀゚)「おい! 死ぬぞ!!」
 
J・F『……ジョルジュ……』
 
(;゚∀゚)「なんだよ! 戻れ! 戻れよ!」
 
J・F『……ごめん……ホ……』
 
(;゚∀゚)「何言ってんだよ!?」
 
J・F『オイラ……ほんとは……ジョルジュのペルソナじゃ……』
 
 アザピーに追い詰められた時、確かにジョルジュはJ・Fの手を掴んだ。
 そしてそれを引いた。強く強く、力を貸せと。
 
 

 

72 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 22:16:38.54 ID:dep1dJxx0
 
 
(;゚∀゚)「……知ってるよそんなことは!!」
 
J・F『……ホ……』
 
(;゚∀゚)「いいから! 戻れ! 戻れよ!」
 
 黒が、ゆっくりと押し返す。
 全てを呑み込むために。
 
J・F『広い……海の中で……見てたんだホ……』
 
 
J・F『人間達の……楽しそうな姿を……』
 
 
J・F『オイラ……落ちこぼれだから……』
 
 
J・F『ペルソナとして呼ばれることも……なかったホ……』
 
 
(;゚∀゚)「J・F……!」
 
 

 

76 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 22:18:47.50 ID:dep1dJxx0
 
 
J・F『オイラも……人間と話したい……力になりたい……』
 
 
J・F『そう思ってた時……ジョルジュの強い思いが……』
 
 
J・F『必死に心の海に、伸ばした手が……見えたんだホ』
 
 
J・F『不自然な形で掴んだから……うまくペルソナとしていられなくて……』
 
 
J・F『今は……もう完全に……分かれちゃったホ……』
 
 
 
 J・Fのつま先に、黒が重なる。
 
 ぞぶり、ぞぶりと、少しずつ侵食していく。
 
 
J・F『…………ジョルジュは……』
 
 

 

80 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 22:20:32.24 ID:dep1dJxx0
 
 
 
 
 
 
 
J・F『オイラを───』
 
 
 
 
 
 
 



 
 
 



 
 ぞぶり。
 
 
 

  

81 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 22:22:41.93 ID:dep1dJxx0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 黒が、J・Fを呑み込んだ。
 
 
 
 
 
 
 _,
(;゚∀゚)「J・Fーーーーーーーーー!!!」
 
 
 伝えたいことを、言い終えずに。
 
 
 白い霜の妖精は、底無しの黒の中へと、呑み込まれた。
 
 
 


83 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 22:24:46.60 ID:dep1dJxx0
 
(  ∀ )(─────……)
 
 
 不滅の黒は、止まらない。
 
ξ;凵G)ξ「……ぇ……ぅ……」
 
 ツンは恐怖に飲まれ、口も動かせる事ができない。
 
 J・Fと、呼ぶことすらも。
 
 
 近づく黒は、近づく死。
 
 間近に迫る、絶対の終わり。
 
 
(  ∀ )(俺は……)
 
 
 
 しかし。
 
 
 静かに揺らぐ、篝火が。
 
 
 


86 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 22:26:57.15 ID:dep1dJxx0
 
 
 
(  ∀ )(突っ込んで……助けられて……)
 
 
 
(  ∀ )(好きな人に、助けられて……)
 
 
 
(  ∀ )(仲間に、助けられて……)
 
 
 
(  ∀ )(仲魔に、助けられて……)
 
 
 
(  ∀ )(挙句が、この様だ……)
 
 
 
(  ∀ )(あの時と……一緒じゃねぇか……) 
 
 

 

90 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 22:28:54.28 ID:dep1dJxx0
 
 
(  ∀ )(そんな奴が……力ばかり求めて……)
 
 
 
(  ∀ )(皆を……護るだって……?)
 
 
 
(# ∀ )(クソ……馬鹿か! 俺は!)
 
 
 
 黒が、ツンに触れようとしていた。
 
 
 
(  ∀ )(……死んだって……いい……)
 
 
 
(  ∀ )(今、ツンと、ブーンと、ミセリちゃんを……救えれば……!)
 
 
 


92 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 22:31:00.02 ID:dep1dJxx0
 
 
 
 
 俺は───死んだって───……いい!
 
 
 
 『本当か』
 
 
 
 本当だ!!
 
 
 
 『人の為に、死ぬのか』
 
 
 
 ああ! 死んでやるさ! それで仲間が救えるのなら!
 
 
 
 『人の為に、死ぬか』
 
 

 

95 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 22:33:39.19 ID:dep1dJxx0
 
 『我が眷属と、似ているな』
 
 
 
 ……誰だよ……お前は……
 
 
 
 『我もまた、忠義を尽くし、主人の為に、死ぬ』
 
 
 
 『……似ているな 我と汝は』
 
 
 
 だから……なんだよ……
 
 
 
 『我は、死にたくなったぞ』
 
 
 
 ……は?
 
 
 


96 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 22:35:32.69 ID:dep1dJxx0
 
 
 こんな時に……何の冗談を……
 
 
 
 『汝に尽くし、生きると言う事を、全うしたくなった』
 
 
 
 …………それは……
 
 
 『呼べよ、名を 我の名を』
 
 
 
 『我は汝と、共に在る』
 
 
 
 
 『さぁ、呼べ 汝が道を、見せてくれ』
 
 
 
 ──────……………
 
 

 

102 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 22:37:52.31 ID:dep1dJxx0
 
( ゚∀゚)「ッ!」
 
 ジョルジュが、跳んだ。
 黒がツンに触れる直前、そのままツンの腕を掴み、ミセリの位置まで引く。
 
ξ;゚听)ξ「ジョル……ジュ……?」
 
 何かが、違う。
 
 ツンはそう感じていた。
 
 同時に、恐怖が完全に消え失せていた事にも驚く。
 
 
ミセ* ー )リ(ジョルジュさん……)
 
 ミセリも、感じていた。
 
 
  _
( ゚∀゚)
 
 
 威風堂々。恐怖も、迷いも、何も無く。
 

 

104 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/01/17(土) 22:40:10.68 ID:dep1dJxx0
 
 紡ぐその名は────ただ一つ!
 
 『ペルソナァ……!』
 
 
 力強く、心の海から解き放つ。
 ジョルジュの背後に青く透き通る壁が現れる。
 
 壁の中から、一匹の獣が稲妻の如く飛び出した。
 
 爪を立て、四肢を大地へと伸ばし、主が敵を睨む。
 
 眼光炯炯、獅子奮迅。
 
 
 
 
 『行くぜ……!』
 
 
 
 
(# ゚∀゚)『オルトロス!!』
 
 忠義を尽くす、双頭の猛犬が。
 
 高らかに、吼えた。
 
                         続く。


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