( ^ω^)はペルソナ能力を与えられたようです

──第18話 『招待状』


 
 
2 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 21:05:20.94 ID:MpWrVZz10
 
 その場に着いた誰もが、動けずにいた。
 状況を理解できずに、ただただ立ちつくすのみだった。
 
(;^ω^)「な……」
 
 ブーンが漏らした声で、ようやくモナーが我に返る。
 
(;´∀`)「ミセリ!」
 
ミセ;゚−゚)リ「はい!」
 
 二人が駆け寄る先は、倒れているトソンの元。
 
川;゚ -゚)「ツン 私達も」
 
ξ;゚听)ξ「う、うん!」
 
 何か手伝えないかと、二人も後に続く。
 
 これからの対策をと、誰もが考えていた。
 しかし、一瞬にしてその思考は何処かへと消え去った。
 
 驚くのも無理はない。
 三人の男と一人の女性が、境内で横たわっていたのだ。
 
 
 


4 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 21:08:48.66 ID:MpWrVZz10
 
(´・ω・`)「あの二人……」
 
(;゚∀゚)「あぁ……あの時の……」
 
 二人の呟きに、ブーンが男達を見た。
 ブーンはあの時別行動をしていたから見覚えがない。
 
 だが。
 
(;゚ω゚)「ギコさん!」
 
 三人目に視線を移すと、その顔には見覚えが。
 あの夜、ブーンとツンによくしてくれた男、ギコだった。
 
(;^ω^)「ツン!」
 
 駆け寄るもブーンにはどうすることもできない。
 すぐに回復魔法を使えるツンの名を叫んだ。
 
ξ;゚听)ξ「───! ギコさん!」
 
(;^ω^)「ツン! 頼むお!」
 
 言われずとも、ツンは即座にディアをかけていた。
 暖かく優しい光がギコの体を包み込む。
 
 
 


6 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 21:11:19.61 ID:MpWrVZz10
 
 
 
 一体なぜ、どうして、誰が。
 
 
 
 皮肉にも、一同の思考はまた、同調していた。
 
 
 
 
 
 
 
( ^ω^)はペルソナ能力を与えられたようです
 
 
 
 

 
        第18話『招待状』
 
 
 
 

 
 


7 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 21:13:46.93 ID:MpWrVZz10
 
(-、-;トソン「う……」
 
(;´∀`)「トソン! 大丈夫ですか?!」
 
 程なくして、トソンが目を覚ました。
 意識が朦朧としていて、何が起こっているのかわからないと言った様子だ。
 モナーに抱きかかえられて、キョロキョロと周囲を見渡している。
 
(゚、゚;トソン「ぁ……モナー様!」
 
(;´∀`)「しっかり、落ち着きなさい」
 
 慌てて飛び起きたトソンを安心させようと。
 それを見たミセリは立ち上がり、流石兄弟の元へ───
 
(;゚∀゚)「ちょちょ、ちょっと待って!」
 
ミセ*゚−゚)リ「はい?」
 
( ゚∀゚)「その二人は、VIPの奴らなんだ」
 
('A`)「起こしたら危ないかもしれない」
 
ミセ*゚−゚)リ「そうですか」
 
 
 


8 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 21:16:08.32 ID:MpWrVZz10
 
 しかしミセリは、意に介さずに。
 流石兄弟の傍に立ち、ペルソナを呼び出した。
 
(;゚∀゚)「ミセリちゃん!」
 
ミセ* − )リ「───ら」
 
(;゚∀゚)「……え?」
 
ミセ*゚−゚)リ「死んでしまったら、どうするんですか!」
 
 ジョルジュの知らない声で、冷たく、強く言い放つ。
 その一言で、ジョルジュは押し黙ってしまった。
 
 VIP高校でブーンを救う時に見せた、ミセリの強い想い。
 どうやら、人の死に対して特別な思い入れがあるようだ。
 
ミセ*゚−゚)リ『メディラマ』
 
 神々しい光が、流石兄弟を包み込む。
 見る見るうちに、顔に生気が戻って行った。
 
( ゚∀゚)「……」
 
 
 


9 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 21:20:19.57 ID:MpWrVZz10
 
 ミセリの後方に控えるジョルジュ。
 二人が暴れ出したらすぐに対応できるようにと。
 同じくドクオも、ジョルジュの隣で身構える。
 
(,,;-Д-)「いっつつ……」
 
(;^ω^)「ギコさん! 大丈夫ですかお?!」
 
 目を覚まし、頭を抱えながら上体を上げたギコ。
 やはりトソンと同じく、何が起きたか解っていない様子だ。
 
ξ;゚听)ξ「ギコさん……」
 
(,,;゚Д゚)「……んぁ……内藤君に……ツンちゃん……」
 
 二人の顔を見て、きょとんとする。
 ギコの意識がはっきりと戻った事を確認すると。
 
(;^ω^)「ギコさん……一体何が……」
 
(,,;゚Д゚)「何がって……わけわかんねぇよ……」
 
 当然の事だった。
 ギコにとっては、トソンと流石兄弟の戦いからまったくわけがわからないだろう。
 言ってみれば、彼はその場に居合わせただけの被害者だ。
 
 
 


11 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 21:22:48.76 ID:MpWrVZz10
 
(;´∀`)「トソン……一体何が……」
 
(゚、゚;トソン「……」
 
( 、 ;トソン「赤……」
 
(;´∀`)「赤……?」
 
( 、 ;トソン「赤い、影が……」
 
 赤い、影。
 トソンが更に言葉を続けようとしたその時。
 
(;´_ゝ`)「なっ……お前ら!」
 
(´<_`;)「ちっ……!」
 
 流石兄弟が目を覚まし、膝をつきながら声をあげた。
 咄嗟に構えるジョルジュとドクオ。
 しかし、その二人を手で制して前に出たのは。
 
(´・ω・`)「待ってくれ」
 
 ショボンだった。
 
 
 


14 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 21:25:47.86 ID:MpWrVZz10
 
(´・ω・`)「あんた達、暴れても無駄なのはわかるだろう」
 
(;´_ゝ`)「……」
 
(´<_`;)「……」
 
 それは確かに感じていた。
 回復しきれていないダメージと、ペルソナを使用しすぎた事。
 ペルソナを過剰に使用すると、精神力を削られる。
 酔った時の様な気だるさ、風邪の時のような脱力感を覚えるのだ。
 
 それに加え、完全に包囲されているこの状況。
 二人に抗う術は、なかった。
 
(´・ω・`)「なんであんた達がここに?」
 
( ´_ゝ`)「……お前らに会いに来たんだよ」
 
(´<_` )「落し前をつけに、な」
 
(´・ω・`)「……それがなんで、倒れてたんだ?」
 
( ´_ゝ`)「おいおい……年上には敬語を使うもんだ」
 
 
 


17 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 21:30:34.62 ID:MpWrVZz10
 
(´・ω・`)「……わかりましたよ」
 
 面倒臭くなったショボンは、素直に口調を変えた。
 
(´・ω・`)「何が、あったんです?」
 
( ´_ゝ`)「……知らん」
 
(´・ω・`)「知らない?」
 
( ´_ゝ`)「あぁ……突然、何かが現れて一気にやられた」
 
(´<_` )「構える暇すらなかった」
 
(´・ω・`)「一気にやられたって……」
 
 あの時はショボン達が勝利したと言っても、四対一の状況だった。
 それでももう一度戦っても、確実に勝てるかどうかはわからない。
 ショボンは二人の実力を知っているだけに、驚いたようだ。
 
( ´_ゝ`)「……赤い、影」
 
(´<_` )「一瞬見えたのが、それだ」
 
 トソンが言った、赤い影。
 やはり二人もそれを見ていたようだ。
 
 

 

18 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 21:34:35.10 ID:MpWrVZz10
 
(゚、゚;トソン「───! モナー様!」
 
( ´∀`)「落ち着きなさい、どうしたのですか?」
 
(゚、゚;トソン「早く! 道場に!」
 
 その言葉に、はっと道場の方向を見た。
 すぐに駆けだしたのは、ジョルジュとミセリ。
 
(;´∀`)「あっ!」
 
 追い掛けようとするも、トソンの事も心配なようだ。
 
(´・ω・`)「モナーさん ここは僕が」
 
(;´∀`)「……すみません」
 
 ショボンに任せ、モナーも急いで後を追う。
 ドクオとクーもそれに続いて行った。
 
 ブーンとツンはハインがそこに居る事を知らない為に、何の事だかわからない様子だ。
 ショボンが二人に、後で説明すると伝えた。
 騒然としていた境内に、一時の静寂が訪れる。
 
 

 

20 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 21:36:49.73 ID:MpWrVZz10
 
(,,;゚Д゚)「な、なぁ……」
 
( ^ω^)「……はいですお」
 
(,,;゚Д゚)「これってやっぱ、昨日話してたあの……」
 
( ^ω^)「……多分、間違いないですお」
 
(,,;゚Д゚)「……まじ……かよ……」
 
 これでは、信じるしかないじゃないか。
 ギコは心の中で、力なく吐き捨てた。
 
( ´_ゝ`)「おい、あんた」
 
(,,゚Д゚)「?」
 
( ´_ゝ`)「本当に何も知らなかったんだな すまなかった」
 
(,,゚Д゚)「いや……それはいい……」
 
 ギコの返事を聞き、兄者はふ、と静かに笑うと。
 
( ´_ゝ`)「お前らと戦いに来たのに、助けられちまうとは、な」
 
 
 


21 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 21:39:36.99 ID:MpWrVZz10
 
(´<_` )「借りができてしまったな」
 
( ´_ゝ`)「ふん……そうだな」
 
 実に落ち着いた表情で、静かに。
 その顔からはすでに敵対の意志は読み取れず。
 
(゚、゚トソン「……先程は誤解して、すみません」
 
 地に座っていたトソンが、顔だけを向けて流石兄弟に謝罪をする。
 
( ´_ゝ`)「いや、あんたの判断は間違っちゃいないさ」
 
(´<_` )「手荒な事をしてすまなかったな」
 
 己の非を認め、柔らかく言った。
 そんなやり取りを見て、
 
(´・ω・`)(……この二人……根っからの悪人じゃないのか……?)
 
(´・ω・`)(事情を話せば……もしかしたら)
 
 淡い期待を抱きつつ、ショボンがまた口を開いた。
 
 
 


24 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 21:42:40.24 ID:MpWrVZz10
 
 

 
 
(;´∀`)「……これは……」
 
 道場に着いたモナーが見た物。
 そこはもう、朝とはまったく違う場所の様に感じられた。
 
 無様にひしゃげた入口の柱。
 入口からも見える道場内の床板は、所々がめくれ、穴が空き。
 奥に続く廊下への戸も、無残に引き裂かれていた。
 
(;'A`)「一体……何が……」
 
 その場の全員が知りたかった事を、ドクオがぽつりと。
 しかしそれよりも、重要な事がある。
 
(;´∀`)「ハインさん!」
 
 残っていたはずのハインリッヒ高岡。
 彼女の安否は果たして。
 モナーの声を合図に、弾ける様に皆道場へと入った。
 
 
 


25 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 21:45:58.64 ID:MpWrVZz10
 
(;゚∀゚)「ぐ……」
 
 焦げた匂いが、鼻をつく。
 外の四人を一蹴した存在はやはり、ただの人ではなさそうだ。
 もし、それの目的がハインだったとするのなら……
 
(;´∀`)「ハインさん! どこですか!?」
 
(;゚∀゚)「おいハイン! モショ!!」
 
 道場の中央で立ち尽くし、名を叫ぶ。
 返事はなく、返るのは無情の静寂のみだ。
 
ミセ;゚−゚)リ「ハインさん!」
 
 ミセリがハインに宛がわれている道場横の一室に駆け込む。
 やはりそこは、無人。彼女の所持品だけが部屋の隅にあるだけだった。
 
(;´∀`)「ど、どこかに隠れているのかもしれません!」
 
 顔を見合せ、五人がこくりと頷く。
 手分けをして探そうと、道場の奥へ進もうとした、その時。
 
 ミシ……と、廊下の床板が鳴いた。
 
 

 

26 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 21:48:31.19 ID:MpWrVZz10
 
( ´∀`)「!」
 
ミセ*゚−゚)リ「……」
 
( ゚∀゚)「……!」
 
川 ゚ -゚)「……」
 
('A`)「なんだ……?」
 
 ミシ、ミシ、と、道場へ近づいてくる音が。
 警戒し、身構える五人。
 すでに気配で、解っていた。
 
 人ではない、と。
 
 
 しかし現れたのは。
 
 
 
モ*゚−゚シ
 
 見知った、幼い悪魔だった。
 
 
 


28 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 21:51:24.80 ID:MpWrVZz10
 
( ゚∀゚)「モショ!」
 
 その姿を確認した直後、ジョルジュはすぐに駆け寄ろうと───
 
( ´∀`)「待ちなさいッ!」
 
 一喝。
 
 モナーの強い声が、ジョルジュの動きを止めた。
 五人の中で、モナーだけが警戒を解いていなかった。
 
( ´∀`)「……」
 
モ*゚−゚シ「……」
 
 不気味な静寂が、少しの間続く。
 どこからどう見ても、モショそのものの姿だ。
 ハインにもらった帽子も、しっかりとかぶっている。
 
 それなのに、モナーが覚えた違和感は。
 
 限りなく純粋だったモショから滲み出る、異質なモノ。
 ねっとりと、纏わり付くような負の気。
 モナーだけが、それを感じていた。
 
 
 


29 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 21:53:43.57 ID:MpWrVZz10
 
 
 やがて。
 
 
モ*゚−゚シ『……女は返してもらった』
 
 重く響く、声。
 
 明らかな、異。
 
 純情可憐なその容姿からは、まったくの対極。
 
川;゚ -゚)「モ……モショ……?」
 
 澄み切った、あの愛らしい声はどこへ。
 クーを始め、ジョルジュ達も動揺を隠せずにいた。
 
 ただ一人は、じっと見据えて。
 
( ´∀`)「……玖都留(クトル)の者か……?」
 
モ*゚−゚シ『……』
 
モ*゚ー゚シ『……あぁ、そうだ』
 
 
 


32 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 21:56:22.10 ID:MpWrVZz10
 
 浮かんだ笑みが、意味する物は。
 
( ´∀`)(……いかにも、餌に食らいついたと言った様子だな……)
 
 思い、拳を強く握る。
 まんまと相手の話に乗るのは癪に障るが、ハインが連れ去られたとなると。
 
( ´∀`)(……乗るしかない……か)
 
( ´∀`)「待っていろ 彼女はすぐに連れ戻す」
 
モ*゚ー゚シ『……歓迎するよ 老兵に、若きペルソナ使い達よ』
 
 その言葉を発した直後。とさりと、モショは前のめりに倒れた。
 
川;゚ -゚)「モショ!」
 
 駆け寄り、すぐに。
 
川;゚ -゚)『ディア』
 
 怪我は見当たらないが、一応の回復魔法を唱える。
 それを見て、静かに佇むモナー達。
 
 
 

33 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 21:59:48.64 ID:MpWrVZz10
 
ミセ*゚−゚)リ「モナー様……」
 
( ´∀`)「……先ずは……集まりましょう……」
 
ミセ*゚−゚)リ「はい」
 
 すぐにミセリが動いた。ショボン達を呼びに行ったのだ。
 モナーは直立したままで腕を組み、目を閉じて思考する。
 
( ´∀`)(……明らかにこれは、我々を誘っている)
 
( ´∀`)(そうでなければ、わざわざ伝言を残すなどは……)
 
( ´∀`)(……しかし)
 
 敵の意図は、ある程度の予想はできていた。
 ハインを餌に誘き寄せ、一網打尽にする魂胆なのだろう。
 
 しかし、どうしても見えない、一点。
 
( ´∀`)(……VIP高校の件……それに……)
 
( ´∀`)(トソンとあの兄弟を一蹴した程の力……)
 
 
 


37 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 22:02:13.24 ID:MpWrVZz10
 
 遥か深淵。例えるのなら、底のない沼。
 末端すら見えぬ、敵の強大な力。
 
( ´∀`)(鈴木ダイオードと同等の力を持つ者が……まだまだいると言うのか……)
 
 少なくとも、ハインを連れ去った存在は相当の実力者だ。
 底知れぬVIPの力に───
 
(;´∀`)(…………)
 
 モナーは、畏怖していた。
 
 だが。
 
(# ゚∀゚)「へっ……調子に乗りやがって」
 
川 ゚ -゚)「モショをこんな目に会わせた奴……許してはおけないな」
 
('A`)「あぁ……やろうぜ!」
 
 その表情には、恐れなどない。
 いや、もしかしたらあるのかもしれない。
 だがそれ以上に昂った感情が、それを抑え込んでいるのか。
 
 いずれにしても。
 
 
 


38 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 22:04:30.98 ID:MpWrVZz10
 
( ´∀`)(そうだ……)
 
( ´∀`)(フィレモンは、私に言った)
 
( ´∀`)(戦士達の、道標になれと……)
 
( ´∀`)(この子達がいれば……希望は必ずある……)
 
 モナーの目に映るのは、モショを心配する三人の姿。
 それに加えて浮かぶ、ミセリ、ショボン、ツン、そしてブーン。
 
( ´∀`)(この子達さえ……生きていれば……)
 
 
 
( ´∀`)(例え私が、死んだとしても───)
 
 
 
 必ず、モララーを止めてくれるだろうと。
 この子達なら、全てを託す事ができると。
 
 だからモナーは、強く誓う。
 ブーン達は、絶対に守り通す。
 
 その命を、使ってでも───
 
 

 

41 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 22:07:27.88 ID:MpWrVZz10
 
 

 
 
 程無くして、ミセリが皆を連れ道場に戻ってきた。
 なぜか、流石兄弟もその中に。
 
 とりあえずと、モナーに促されて全員が腰掛ける。
 無残な道場の姿に、ブーン達もやはり驚いていた。
 
 一部始終をモナーが話し終えた後に、ブーンが口を開いた。
 
( ^ω^)「ハインさんって人、確か学校で言ってた……」
 
(´・ω・`)「あぁ あの夜、ブーン達と別れた後に玖都留で会った人だよ」
 
( ^ω^)「なるほどお」
 
(´・ω・`)「結構な地位の人で、やっぱりと言うか……連れ戻されたみたいだね」
 
ξ゚听)ξ「こちらの三人は?」
 
(´・ω・`)「その二人は玖都留の研究所の人間だよ」
 
ξ;゚听)ξ「えっ……」
 
 
 


45 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 22:10:45.05 ID:MpWrVZz10
 
( ´_ゝ`)「そう警戒するな 暴れる気はない」
 
( ゚∀゚)「なんであんたら、大人しくしてんだ?」
 
( ´_ゝ`)「ふん……借りができたからな」
 
 そう言うとまた、二人は静かに笑った。
 
(´・ω・`)「で……そちらの方は僕も知らない」
 
 全員の視線がそこに集まる。視線の先には、トソンの姿。
 
(゚、゚トソン「はじめまして」
 
( ´∀`)「彼女は、私が雇ったボディガードです」
 
( ´∀`)「昔からの知り合いに探偵所を営んでる人がいまして、そこの人間です」
 
(゚、゚トソン「残念ながら……プロセスは果たせなかったセオリーです……」
 
( ´∀`)「そう責任を感じなくていい」
 
 モナーの言葉に、トソンは深く頭を下げた。
 現れたのがダイオードと同等、或いはそれ以上の力の持ち主なら、仕方がない。
 彼女の実力を知るモナーだからこそ、責める事をしなかった。
 
 
 


47 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 22:13:36.67 ID:MpWrVZz10
 
(´・ω・`)「それで……どうするんです?」
 
( ゚∀゚)「勿論」
 
('A`)「助けに行く、だな」
 
 拳を強く握りしめて、はっきりと意思を表す。
 当然、それはショボンも思っていることだ。
 
( ´∀`)「えぇ しかし、今すぐと言うわけにはいきません」
 
 モナー達はまだ、VIP高校での戦いの疲れが残っている。
 ある程度休めば回復はするのだが、やはり今すぐというわけにはいかなかった。
 無論、まだ陽が高いことも起因しているが。
 
( ´∀`)「夜を待ちましょう」
 
 逸る所はあるだろうが、敵の力が強大故に万全の態勢で。
 
 そこへ。
 
( ´_ゝ`)「一つ、いいか?」
 
 モナーを見て、静かに聞いていた兄者が。
 
 
 


48 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 22:16:22.88 ID:MpWrVZz10
 
( ´_ゝ`)「お前達、何故VIPに敵対をする?」
 
(´<_` )「VIPの力は強大だ 死ぬかもしれんぞ」
 
( ´∀`)「……」
 
(´・ω・`)「あなた達もペルソナ使いなら、フィレモンに会ったでしょう?」
 
( ´_ゝ`)「あの仮面の男か……一度だけ、な」
 
('A`)「俺達はフィレモンに言われたんだ」
 
川 ゚ -゚)「字都(アザト)に危機が迫っている……と」
 
( ゚∀゚)「その黒幕が、VIPだってだけだ」
 
( ´∀`)「……モララーとは、かつての友だった」
 
( ´∀`)「私には、奴を止める責任がある」
 
 静かに、流石兄弟はモナーの瞳を見た。
 奥底に揺らぐ、決意の炎をしっかりと。
 
( ´_ゝ`)「……なるほどな」
 
 

 

51 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 22:19:26.58 ID:MpWrVZz10
 
(´<_` )「お前達も、ゲームじゃないんだぞ?
      選ばれたからと言って、何故危険な道を進む」
 
 彼らの様に、異能を生業とした世界に身を投じているわけではない少年達。
 自分達ならわかるが、普通の学生のブーン達が何故その使命を背負うのか。
 そこが理解できなかったのだ。
 
 だがブーン達は、この数日に起きた事変を通じて、決意を固めていた。
 
( ^ω^)「これまでに、悪魔の姿を何度も見ましたお」
 
('A`)「フィレモンの言っていた事は、嘘じゃない」
 
川 ゚ -゚)「確実に、この街に良からぬ事が起きようとしている」
 
(´・ω・`)「何もしないよりは、抗いたい」
 
( ゚∀゚)「気付いたら手遅れでしたじゃ、イヤだろ?」
 
ξ゚听)ξ「街も……皆も……助けたい」
 
( ^ω^)「だから僕達は、戦うんですお」
 
 確かに揺らぐ、モナーと変わらぬ決意の炎。
 流されるだけだった彼らは、たったの数日で大きく、成長していた。
 
 
 


53 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 22:22:17.16 ID:MpWrVZz10
 
( ´_ゝ`)(……なるほど、な)
 
(´<_` )(遊びではない事はわかっている、か)

( ´_ゝ`)(……)
 
( ´_ゝ`)「俺達は……はっきり言って、雇われてただけだ」
 
(´<_` )「金を貰えるなら、VIPが何をしていようが関係なかった」
 
( ´_ゝ`)「だが……」
 
 二人はゆっくりと、ブーン達の顔を見回す。
 彼らの決意の炎が、二人の心も、奮い立たせた。
 
( ´_ゝ`)「この街を救う、か」
 
(´<_` )「たまには……正義の味方になってみるのも、面白そうだ」
 
( ´∀`)「……いいのか?」
 
( ´_ゝ`)「勘違いするなよ」
 
(´<_` )「借りもあるが……貸しもあるからな」
 
( ´_ゝ`)「事が終わったら、お前達に再戦を申し込むぞ」
 
 
 


56 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 22:25:10.82 ID:MpWrVZz10
 
( ゚∀゚)「へっ! 返り討ちにしてやるよ!」
 
 そう言ったジョルジュの声は、どこか嬉しそうだった。
 
(´<_` )「ふん……」
 
( ´_ゝ`)「それに……」
 
( ´_ゝ`)「街が消えたら、転生少女イシュキックの続きが見れないからな」
 
('A`)「……! 見てるのか?!」
 
( ´_ゝ`)「当然だ あのよく動くオープニングはもっと評価されて良い」
 
('A`)「こいつ……出来る……!」
 
 どうやら妙な所で意気投合したようだ。
 
 兎にも角にも。
 
 心強い味方が増えたことには、間違いなかった。
 
(゚、゚トソン「モナー様」
 
( ´∀`)「はい?」
 
 
 


59 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 22:28:19.04 ID:MpWrVZz10
 
(゚、゚トソン「非常に同行したいセオリーですが、残念ながら事務所に戻るプロセスです」
 
( ´∀`)「えぇ、トソン よくやってくれました」
 
(゚、゚トソン「……痛み入ります」
 
 悔しそうに、唇を噛んだ。今回の失態を、挽回したい思いはある。
 だが、仲魔は行動不能に陥り、MAGも尽きかけていた。
 肉体も、疲弊しきっている。足手纏いは、目に見えていた。
 
 トソンは文字通り悔しさを噛み締めながら、今回の同行を断念する事を選んだ。
 
( ´∀`)「トソン」
 
(゚、゚トソン「はい」
 
( ´∀`)「この子を……預かってもらえませんか?」
 
 寝かせていたモショを抱き、トソンへ差し出す。
 いつ目を覚ますのかわからないが、置いて行くわけにはいかないだろう。
 だがもし起きたとしても、激闘は必至。連れて行くわけにもいかない。
 
(゚、゚ゞトソン「了解です」
 
 素早く敬礼し、引き受けた。
 
 
 


60 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 22:31:11.14 ID:MpWrVZz10
 
 COMPを取り出し、ボタンを押すとディスプレイから青い光が溢れ出る。
 光はモショを包み込み、段々と小さく、小さく。
 やがて青白い小さな光球となり、そのままCOMPへと吸い込まれていった。
 
(゚、゚トソン「後日、またつれてくるセオリーです」
 
( ´∀`)「頼みましたよ」
 
(゚、゚トソン「それでは私は、失礼します」
 
 立ち上がり、道場の入口付近で、もう一度ぺこりと。
 
(゚、゚トソン「ご武運を」
 
 そしてトソンは、事務所へと帰って行った。
 
 それに続いて。
 
(,,゚Д゚)「……俺もひとまず、帰る」
 
 流れで居合わせていたギコだったが、この機にと口を開いた。
 
(,,゚Д゚)「いまいち状況はわからないが……助けてくれて感謝してる」
 
(;^ω^)「ギコさん……」
 
 

 

62 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 22:34:06.43 ID:MpWrVZz10
 
(,,゚Д゚)「……どうやら、俺が踏み込んじゃいけない世界みたいだ」
 
( ^ω^)「……」
 
(,,゚Д゚)「あいつも心配するし、な」
 
ξ゚听)ξ「……」
 
(,,゚Д゚)「君達、頑張ってくれ」
 
( ^ω^)「……ありがとうございますお」
 
( ´_ゝ`)「巻き込んで、悪かったな」
 
(,,゚Д゚)「トラブルは付き物だ 問題ないさ」
 
 そう言うと、ギコは身を翻し、片手を挙げて。
 
( ,,゚Д)「じゃあ、な」
 
 静かに、去って行った。
 
 その背中はどこか、寂しそうで。
 
 
 


64 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 22:36:55.34 ID:MpWrVZz10
 
 ここに、自分の入り込む余地はない。
 そんなことははっきりと解っていたのに。
 
(,, Д )(クソッ……!)
 
 素直に受け入れる事ができずにいた。
 記者としてのプライドが、それをさせずにいたのだ。
 
(,,゚Д゚)(……諦めねぇぞ……俺には俺の、やり方がある)
 
 ブーンとツンは、ギコが去った事で安心していたのだが……
 どうやらギコも、このままでは終わらせないようだ。
 
 彼もまた、戦いの中へと身を投じるのだった。
 
 
 ギコを見送った後、道場内にひとまずの静寂が訪れる。
 
 目まぐるしく動き続ける状況の中の、一時の休息。
 力が抜けたのか、ブーンなどはぐったりとしていた。
 デレとの戦いの疲労はやはり、相当の物だったようだ。
 
 ツンはまた、俯いて何かを考えている。
 事情を知ったショボン達は、ツンをちらりと見るだけにとどまる。
 どう声をかけていいのかわからない、そんな様子だった。
 
 

 

66 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 22:40:13.04 ID:MpWrVZz10
 
( ´_ゝ`)「なぁ」
 
 そんな重い空気の中、事情を知らぬ兄者が声を。
 
( ´_ゝ`)「腹、減ったな」
 
 全員がぽかんとしたすぐ後に、一斉に自分の腹を見た。
 
( ゚∀゚)「あー、そうかもな」
 
('A`)「そういや昼、食ってないな」
 
(;^ω^)「そう言われたら、途端にお腹が減ってきたお……」
 
ミセ*゚ー゚)リ「何か、作りますね」
 
 クスリと笑うと、ミセリが立ち上がり台所へ、
 
ξ゚听)ξ「私も手伝います」
 
 それをツンがすぐに追いかけた。
 更に続くと思われたクーは、残念そうな顔をして、
 
川 ゚ -゚)「モナーさん」
 
 
 


67 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 22:42:58.29 ID:MpWrVZz10
 
( ´∀`)「はい?」
 
川 ゚ -゚)「あの……一度家に帰りたいんです」
 
( ´∀`)「わかりました 送っていきましょう」
 
川 ゚ -゚)「すみません よろしくお願いします」
 
 家、と言う単語を聞いてブーン達も家に連絡しようと携帯を取り出した。
 そこはやはり、学生であることを思い出させる。
 ブーン達がそうしている内に、モナーとクーはすでに道場から去っていた。
 
( ´_ゝ`)「なんだかんだで、やはりまだ子供だな」
 
(´・ω・`)「しょうがないじゃないですか」
 
( ゚∀゚)「あんた達は家族とかいないのか?」
 
( ´_ゝ`)「失礼な いるに決まってるだろう」
 
(´<_` )「追い出されたんだけどな」
 
( ゚∀゚)「えばれねぇじゃん」
 
( ´_ゝ`)「可愛い子には旅をさせろと言うだろう」
 
 
 


69 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 22:46:28.04 ID:MpWrVZz10
 
(´<_` )「勘当だったけどな」
 
(;´_ゝ`)「う、うるさい!」
 
(´<_` )「まぁ、兄者についていった俺も俺だけどな」
 
( ´_ゝ`)「むぅ……」
 
( ^ω^)「仲がいいですおね」
 
( ´_ゝ`)「当たり前だ 兄弟とは、助け合うものだ」
 
 満足気な笑みを浮かべ、豪語する兄者。
 対して弟者は、やれやれと言った様子だ。
 
 一人。
 
 影を落とす少年がいた。
 
(´・ω・`)(…………)
 
(´・ω・`)(兄弟……か)
 
 

 

71 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 22:49:13.64 ID:MpWrVZz10
 
 何か特別な思い入れがあるのだろうか。
 その表情はしかし、沈んだ表情だ。
 
( ´_ゝ`)「お前達は家に帰らなくてもいいのか?」
 
( ゚∀゚)「あー、俺は今ここに住みこみだし」
 
( ^ω^)「そうなのかお?」
 
( ゚∀゚)「あぁ モナーさんに鍛えてもらってるんだ」
 
( ^ω^)「おっおっ それはすごいお」
 
(;゚∀゚)「地獄だけどな」
 
('A`)「とかいって、ミセリさんが目当てなんだろ?」
 
(;゚∀゚)「ち、ちげーよ! ミセリちゃんはそんな……」
 
( ^ω^)「なるほどお……綺麗な人だおねー、ジョルジュは年上好きだし」
 
(;゚∀゚)「だから違うって!」
 
( ゚∀゚)「後、ミセリちゃんは年下だぞ」
 
 
 


74 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 22:52:06.26 ID:MpWrVZz10
 
(;'A`)「え? まじ?」
 
( ゚∀゚)「あぁ 俺らより二つ下だ」
 
('A`)「てことは十六かよ……マジか」
 
(* ゚∀゚)「和風美人と言うか、落ち着いた感じがいいよなぁ……」
 
( ^ω^)「やっぱりじゃないかお」
 
(;゚∀゚)「あ、いや、違うんだぞ!」
 
( ´_ゝ`)「いかん リア充の気にあてられそうだ……」
 
(´<_` )「兄者には少し眩しすぎるな」
 
( ´_ゝ`)「むぅ……しかしお前ら 今帰ったあの子を見習ったらどうだ。
      家族は大切にするもんだぞ」
 
(´<_` )(兄者、説得力皆無だぞ)
 
('A`)「あぁ……クーの家はな、ちょっと違うんだ」
 
( ´_ゝ`)「うん? 何がだ?」
 
('A`)「クーはな────」
 
 
 


75 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 22:55:10.44 ID:MpWrVZz10
 
 

 
 
( ´∀`)「そう……でしたか……」
 
 クーの家に向かう車の中。
 モナーがぽつりと、呟いた。
 
川 ゚ -゚)「えぇ 妹達に迷惑はかけられませんし」
 
 クーの家の事情を聞いたモナーは、押し黙ってしまった。
 
 彼女には、二人の妹がいる。
 それだけだ。
 
 両親は、いない。
 
 勿論、両親がいない事には理由はあったのだが……
 モナーはそこまで、聞かなかった。
 
川 ゚ -゚)「最近帰りが遅いので、今日はせめて顔だけは見せようと」
 
( ´∀`)「……すみません」
 
 
 


77 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 22:58:19.43 ID:MpWrVZz10
 
 聞いてしまったことと、巻き込んでしまったこと。
 それらを含めての、謝罪だった。
 
川 ゚ -゚)、「いえ、いいんです 私が決めた事ですから」
 
( ´∀`)(……この子達は……本当に強い……)
 
 つくづくモナーは、そう思わされた。
 クーはブーン達の中でも、特に大人びた印象をモナーは受けていたが、
 この年で妹二人の世話をしている事が、少なからずそれに関係していたのか。
 
 そんな事情があるにもかかわらず、クー達が奮起した事が。
 
( ´∀`)(……この子達の……為にも……)
 
 モナーの意思を、更に強くさせていた。
 
 それからの二人は無言だった。
 
 流れる景色は、変わらぬ街の姿。
 しかし確実に、異変が迫っている街。
 
 もしかしたら一週間後には、別の世界になっているのかもしれない。
 それだけは、絶対に───
 
 無言の二人は同じ事を思い、誓っていた。
 
 

 

80 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 23:02:13.01 ID:MpWrVZz10
 
 やがてクーの家に着く。
 一言モナーに告げると、クーは駆け足でアパートの部屋へ向かう。
 
 鞄から鍵を取り出し、扉を開けた。
 
川 ゚ -゚)「ただいまー」
 
 玄関三和土(げんかんたたき)で上がらずに立ち止まる。
 二足ある靴が、妹達が居る事を教えてくれていた。
 
川 ゚ -゚)「ヒートー シュー」
 
 いるはずの妹二人の名を呼ぶ。
 程無くして、ドタバタと足音が近づいてきた。
 
ノパ听)「おー! お姉ちゃんおかえり!」
 
川 ゚ -゚)「ただいま あまりドタバタするんじゃないぞ」
 
 元気の良い赤い髪の少女。次女のヒートだった。
 それに続いて、ヒートとは真逆に、静かに。
 
lw´‐ _‐ノv「おかえり、お姉ちゃん」
 
川 ゚ -゚)「あぁ、ただいま」
 
 

 

82 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 23:05:10.24 ID:MpWrVZz10
 
 末のシュール。クーと同じく、長い黒髪がよく似合う少女だ。
 クーがいない時は、もっぱらこのシューが家事を担当している。
 ヒートに任せると危険だからだ。
 
川 ゚ -゚)「二人とも、よく聞いてくれ」
 
ノパ听)「なんだ?」
 
lw´‐ _‐ノv「?」
 
川 ゚ -゚)「お姉ちゃん、今日はまた帰るのが遅くなるから……
     しっかり鍵をかけて、良い子にしてるんだぞ」
 
ノパ听)「わかったぞ!」
 
lw´‐ _‐ノv「ん 了解」
 
川 ゚ -゚)「ごめんな……」
 
ノパ听)「へっちゃらさ!」
 
lw´‐ _‐ノv「お姉ちゃん」
 
川 ゚ -゚)「ん?」
 
 

 

85 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 23:08:15.64 ID:MpWrVZz10
 
lw´‐ _‐ノv「明日の約束は、大丈夫?」
 
川 ゚ -゚)「あぁ、明日は必ず、帰ってくる」
 
lw´‐ _‐ノv「うん わかった」
 
 物静かで、あまり感情を表に出さない子だったが、
 クーの返事に満足したのか、微かにはにかんだ様に見えた。
 
川 ゚ -゚)「じゃあ、ごめんな」
 
lw´‐ _‐ノv「ううん いってらっしゃい」
 
ノパ听)「いってらっしゃい!」
 
川 ゚ -゚)「いってきます」
 
 そうして、クーは玄関を出た。
 モナーが待つ車へ戻りながら、妹達との約束を思い出す。
 
川 ゚ -゚)(明日……か)
 
川 ゚ -゚)(ヒートも、楽しみにしていたな)
 
川 ゚ -゚)(あいつらの為にも、頑張らないとな……)
 
 
 


87 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 23:11:03.73 ID:MpWrVZz10
 
川 ゚ -゚)(しかし、久しぶりに姉妹で遊びに行くな……)
 
川 ゚ -゚)(アバドン……か)
 
 覇洲(ハス)区にある、超巨大アミューズメントパーク、アバドン。
 字都市外からも来客が多い、超人気スポットだ。
 
 そこにあるのは、それだけではないのだが───
 
川 ゚ -゚)「すみません お待たせしました」
 
( ´∀`)「いえ 行きましょうか」
 
 そして車は、再び神社へ。
 妹達との約束がまた、クーの気を引き締めさせた。
 
 
( ´∀`)「あ」
 
 静かな車内に突然鳴り響く、携帯の電子音。
 音の出所は、モナーの袴の袖の中。
 器用に片腕を袖の中に引っ込めて、携帯を取り出した。
 
 


91 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 23:14:10.69 ID:MpWrVZz10
 
( ´∀`)「ミセリからです すみませんが出てくれますか?」
 
川 ゚ -゚)「はい」
 
川 ゚ -゚)】「もしもし?」
 
ミセ*゚−゚)リ】「えっ?! あ、クーさんですか?」
 
川 ゚ -゚)】「えぇ、モナーさんは運転中なので」
 
ミセ*゚ー゚)リ】「そうですか えと、食事を作ろうとしたんですが……」
 
川 ゚ -゚)】「はい」
 
ミセ*゚ー゚)リ】「ちょっと食材があまりなくて……とりあえずご飯は炊いているんですが」
 
川 ゚ -゚)】「お使いですか?」
 
ミセ*゚ー゚)リ】「お手数ですが……」
 
川 ゚ -゚)】「わかりました 何にします?」
 
ミセ*゚ー゚)リ】「人も多いので……お鍋にしようかと」
 
 


94 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 23:17:53.23 ID:MpWrVZz10
 
川 ゚ -゚)】「わかりました 何のお鍋にします?」
 
ミセ*゚−゚)リ】「えっと……じゃあ>>97鍋にしましょう」
 
川 ゚ -゚)】「はい あ、モナーさん サトミスーパーに向かってください」
 
( ´∀`)「わかりました」
 
ミセ*゚ー゚)リ】「人数は十人分です」
 
川 ゚ -゚)】「了解です」
 
ミセ*゚ー゚)リ】「では、失礼します」
 
 そうして、通話は終わった。
 一息ついて、モナーに携帯を渡す。
 
( ´∀`)「お鍋ですか」
 
川 ゚ -゚)「お鍋ですね」
 
( ´∀`)「戦いの前に、たくさん食べましょう
       と言っても、私は肉は食べられませんが」
 
川 ゚ー゚)「ふふ、そうですね」
 
 


101 名前: ◆iAiA/QCRIM [] 投稿日:2009/04/22(水) 23:21:50.43 ID:MpWrVZz10
 
 
( ´∀`)(そういえば……)
 
( ´∀`)(ショボン君……ケーキはあるんでしょうか……)
 
 戦いの合間の、僅かな休息。
 
 ハインの安否は気にかかる所だが、恐らくは無事であろう。
 彼女はモナー達をおびき寄せる、いわば餌だ。
 そうでなくとも、VIPには必要な存在であるはずだ。
 
 
( ´∀`)(ハインさん……少しの間、どうか)
 
 
 
 思う心も、一先ずは。
 
 
 腹を満たして、いざ行かん。
 
 
 
 
                         続く。
 
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/22(水) 23:19:30.50 ID:HFrwWaaV0
チゲ


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