('A`)初雪と、ドクオと──のようです



 
 
 
 
 
1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:18:57.49 ID:Z9h6HLsH0
──にお好きなAAを入れてお読みください

 
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:20:10.26 ID:kKVWJlGH0
∩∩
(;゚;谷;゚)


3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:20:10.48 ID:Z9h6HLsH0
 
 
 
 
 終始、一人だった。
 
 誰にも話しかけられず。
 
 誰にも話しかけず。
 
 学生時代と同じで、誰の目にも映っていないようだった。
 
 再会の喜びを分かち合うリア充達。
 
 そのまま飲みに繰り出すリア充達。
 
 携帯番号の交換をするリア充達……
 
 そんな彼等を、俺は一人でじっと見ていた。
 
 
 あの頃と、まるで変わっちゃいないな。
 
 
 俺は。
 

4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:21:09.68 ID:SGXqMkRJO
えらい身につまされそうな予感がする


 
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:22:35.59 ID:Z9h6HLsH0
 
 
 
 
 今年で二十歳。
 
 
 それが俺の、人生でただ一度きりの、成人式だった。
 
 
 
 
 
 
 
 ('A`)初雪と、ドクオと──のようです
 
 
 
 
 

6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:24:53.22 ID:Z9h6HLsH0
 
 
 
 世間の風も、冬の風も冷たかった。
 
 格好だけは成人式らしく、スーツでキメて行ったが。
 
 所詮は、俺だった。
 
 チヤホヤされるわけもなく、ひたすらに空気。
 
 元クラスメイト達が、まるで他校の出身だと思えるほど。
 
 誰の目にも、記憶にも、俺はいないんだろうな。
 
 いいさ。
 
 そんなことには、慣れてるから。
 
 
 キメたスーツも、厳しい寒さを感じただけだった。
 
 
 
 

7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:26:55.03 ID:Z9h6HLsH0
 
 
 いいさ。
 
 カーチャンが用意してくれた一張羅だ。
 
 それだけで嬉しかった。
 
 俺の成人を喜んでくれた、唯一人の女性。
 
 
 カーチャン。
 
 
 俺を生んでくれた、大切なカーチャン。
 
 
 俺なんかを……生んでくれた……
 
 
 カーチャンがいるだけで、俺は幸せなんだ。
 
 リア充が何しようと、俺には関係ないんだ。
 
 



 
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:28:46.84 ID:oS8cpW/j0
ドクオは反則だよ・・・・・・・・

10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:28:54.72 ID:Z9h6HLsH0
 
 
 家に帰ればきっと、ご馳走をつくって待っていてくれているはずだ。
 
 いつもの優しい笑顔で、俺を迎えてくれるに違いない。
 
 そう考えると、不思議と寒さが和らいだ気がした。
 
 
 待っててくれな、カーチャン。
 
 
 心の中で、そう呟いた、その時。
 
 
 
──ドクオくん
 
 
 
 不意に、俺を呼ぶ声が聞こえた。
 
 
 
 

11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:30:55.61 ID:Z9h6HLsH0
 
 
 
 優しく、耳に暖かく残る声。
 
 アイツの声だ。
 
 俺は瞬時に理解した。
 
 
('A`)「……きたのか」
 
 
──うん、ドクオくんの成人式だもん
 
 
('A`)「バーカ」
 
 
──あー、ひどーい 急いできたのにー
 
 
('A`)「へっ……」
 
 
 

12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:33:09.17 ID:Z9h6HLsH0
 
 
 
 ほんとは舞い上がりたくなるほど嬉しかった。
 
 でも照れくさくて、真逆の言葉が飛び出してしまった。
 
 
('A`)「……ごめんな」
 
 
──えっ?
 
 
('A`)「嬉しいよ ありがとうな」
 
 
 今度は、素直に。
 
 すると彼女は、少し間の抜けた顔をした後に。
 
 頬を染めて、うつむいてしまった。
 
 
 

13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:35:12.69 ID:Z9h6HLsH0
 
 
 
──へへ…… どーいたしましてっ
 
 
('A`)「相変わらず、コロコロと変わる奴だな」
 
 
──ばっ! ばーか! 誰のせいだと思ってるのよ!
 
 
('A`)「あぁ……悪いな」
 
 
 そして俺は、にっこりと彼女に笑顔を向けた。
 
 彼女もにっこりと、笑みを返してくれた。
 
 
──……懐かしい友達に、会えた?
 
 
 その言葉で、俺の笑顔は凍りついてしまう。
 
 
 

14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:36:55.33 ID:9NNrylrq0
もうやめてくれ二年も前に終わったんだ…


 
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:37:12.73 ID:Z9h6HLsH0
 
 
 
('A`)「いねーよ 俺を覚えてる奴なんて」
 
 
──むぅ……そっかぁ……
 
 
('A`)「知ってるだろ? 俺がクラスでどんな立場だったか」
 
 
──あ、あははは……
 
 
('A`)「いじめられなかっただけよかったけどな」
 
 
──そ、そうだよ! 普通ってことじゃん!
 
 
('A`)「誰とも話さずに学校生活を終えたのが、普通か」
 
 
──ドクオくん……
 
 

16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:39:36.35 ID:HIK/fFaV0
('A`)「いねーよ 俺を覚えてる奴なんて」
 
∩∩
(;゚;谷;゚)むぅ……そっかぁ……
 
 
('A`)「知ってるだろ? 俺がクラスでどんな立場だったか」
 
∩∩
(;゚;谷;゚)あ、あははは……
 
 
('A`)「いじめられなかっただけよかったけどな」
 
∩∩
(;゚;谷;゚)そ、そうだよ! 普通ってことじゃん!
 
 
('A`)「誰とも話さずに学校生活を終えたのが、普通か」
 
∩∩
(;゚;谷;゚)ドクオくん……


 
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:39:43.66 ID:Z9h6HLsH0
 
 
 
('A`)「……悪い、お前に当たっても仕方ないよな」
 
 
──そんなこと……ないよ……
 
 
('A`)「悪いのは俺だ なんの面白味もなくて、つまんねー俺が悪い」
 
 
──そ………と……ぃ……
 
 
('A`)「ん?」
 
 
 
 
 
──そんなことないよ!!
 
 
 
 

18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:42:10.45 ID:Z9h6HLsH0
 
 
 
 帰宅途中の商店街に、彼女の大きな声が響いた。
 
 周囲の人達が何事かと振り向き、こちらを見る。
 
 彼女は構わずに、続けた。
 
 
──私は、知ってるよ!
 
 
(;'A`)「お、おい……」
 
 
──ドクオくんのいいところとか、面白いところとか!
 
 
(;'A`)「お、お前……」
 
 
 
 
──そ……その……素敵な……とことか……
 
 

19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:44:10.96 ID:Z9h6HLsH0
 
 
 
 いきなり何を言い出すんだコイツは。
 
 とにかく恥ずかしくて、俺は彼女の手を引いて商店街を駆けた。
 
 あんな人の多いとこで、まったくこいつは……
 
 
 
 でも。
 
 
 
 嬉しかった、な……
 
 
 
 
 
 無茶苦茶に走り、気がつけば人通りの少ない裏道に入っていた。
 
 



 
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:46:10.88 ID:Z9h6HLsH0
 
 
 
(;'A`)「はぁ……はぁ……」
 
 
──もー、いきなりびっくりしたじゃない
 
 
(;'A`)「はぁ……び、びっくりしたのはこっちだぜ……まったく……」
 
 
──ふふふ、じゃあ、お互い様だねっ
 
 
(;'A`)「はぁ……あいてててて……」
 
 薄い冬の空気の中をいきなり全力疾走したせいか、脇腹が痛い。
 腰を屈めて脇腹を抑える俺の顔を、彼女は前屈みになり覗きこむ。
 
 
──相変わらず、体力ないね?
 
 
(;'A`)「う、うるせー……いてて……」
 
 



 
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:48:10.89 ID:Z9h6HLsH0
 
 
 
──マラソン大会とか、いっつもビリだったもんね
 
 
('A`)「くそ……人が気にしてることをペラペラと……」
 
 
──他にも、勉強もだめだし、忘れものもよくしてたね
 
 
('A`)「あぁはいはい! 俺は何してもだめですよ!」
 
 
 
──でも
 
 
 
 
 
──でも、優しいよね
 
 
 

24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:50:10.76 ID:Z9h6HLsH0
 
 
('A`)「え……?」
 
 
──私、知ってるよ
 
 
──ドクオくんの、優しいところ
 
 
('A`)「俺の……優しいところ……?」
 
 
──うん
 
 
──誰もやりたがらない面倒な飼育係りになったり
 
 
──教室のお花のお水を変えてあげたり
 
 
 
──とっても、お母さんを大事にしてたり、ね
 

25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:52:13.80 ID:Z9h6HLsH0
 
 
 
('A`)「お前……」
 
 
──さっきの、ドクオくんの素敵なとこは、そういうところ
 
 
 
──私は全部、知ってるよ?
 
 
 
──だから私は、ドクオくんのそばにいるの
 
 
 
 ひらひらと、白い何かが。
 
 一瞬、さくらの花びらかと錯覚してしまった。
 
 
 白の向こうに、彼女の桜色に染まった頬が見えたから。
 
 

26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:54:10.80 ID:Z9h6HLsH0
 
 
 
──初雪、だね
 
 
 
 粉雪が、顔にかかる。
 
 
 でもすぐに、溶けていった。
 
 
 多分、俺の顔も、赤くなってるんだと思う。
 
 
('A`)「……綺麗、だな」
 
 
──えっ?
 
 
 初雪の中の、頬を染める彼女が。
 
 
 とても、綺麗だった。
 
 

27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:56:13.02 ID:Z9h6HLsH0
 
 
 
──そ、それって……その……
 
 
('A`)「ばーか 雪だよ、雪」
 
 
──あ…… も、もー! からかわないでよ!
 
 
('A`)「自意識過剰乙」
 
 
──いいもんいいもん ドクオくんなんかもう知らないんだから!
 
 
 そっぽを向いてしまった彼女の冷たくなった手を握り。
 
 
('A`)「なぁ───」
 
 
 

28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:58:14.38 ID:Z9h6HLsH0
 
 
 

 
 
 
( ^ω^)「ねーねーカーチャン」
 
('、`*川「ん? ていうかなんで私が子持ち設定なの?」
 
( ^ω^)「さっき一人で叫んでた人、なんだったのかお?」
 
('、`*川「ああいう人は見ちゃダメよ」
 
( ^ω^)「すっごい楽しそうだったお!」
 
('、`*川「楽しそう……ね……」
 
 
 
 
('、`*川「その人が幸せなら、それは幸せにかわりない、か」
 

29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 19:58:48.20 ID:Z9h6HLsH0
 
 
 
 
 
('A`)「来年も、一緒に初雪を見ような」
 
 
 
 
 
(*'A`*)「ドクオくん……ずっと一緒だよ……」
 
 
 
 
 
 
 ('A`)初雪と、ドクオとドクオのようです
 
 
 
 終わり。
 
 

30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 20:01:11.18 ID:Q+3tFOpe0
('A`)


 
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 20:02:04.22 ID:tR6650++0
('A`) 乙ダシノウ


 
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 20:09:31.91 ID:5dnXMcEv0


 
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 20:16:06.59 ID:9NNrylrq0
なんという期待通り


 
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 20:19:16.47 ID:KCwd3Z+f0
最初最近流行のスイーツ(笑)小説かと思ったけど見事なオチ


 
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 20:20:16.25 ID:dpUcPXJp0
って終わりかよ!!!!!!

 


 
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/12(月) 20:34:57.27 ID:wsLN8JTV0
欝!


 




ありがとうございました

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