ξ゚听)ξ嘘が紡いだ物語のようです
十、『月の下、貴女に誓う』
231 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/17(土) 22:43:56.97
ID:BvFhMvL/0
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眼前に、モララー様の剣が突き刺さった。
剣は僕をではなく、大地を突き刺したのだ。
( ・∀・)「お前の覚悟、見事だった」
( ・∀・)「ヴィップに忠誠を誓ったブーン=ラダトスクは、今日死んだ」
( ・∀・)「……ブーン。この剣を持て」
( ・∀・)「そして、もう一度誓え」
( ・∀・)「ツンの為に、生きることを」
ξ;凵G)ξ「……お兄……さま……」
……モララー様。
……貴方は。
罪人である僕に。
生まれ変わる機会まで、与えてくれたというのか。
233 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/17(土) 22:46:57.50
ID:BvFhMvL/0
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熱いものが、目に、胸に、こみ上げた。
眼前の剣ですら、霞んで見える。
( ・∀・)「泣いてる場合か、馬鹿」
背中を小突かれた。
( ω )
跪いたまま手を伸ばし、剣の柄を、しっかりと握った。
顔を上げる。
そこには、愛しい人の姿。
刀身と柄を持ち、彼女へ、剣を捧げた。
ξ゚听)ξ
ツンは僕に近づき、僕の手から剣を受け取る。
僕は片膝をついて跪き、頭を下げた。
234 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/17(土) 22:50:00.43
ID:BvFhMvL/0
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肩にカチリと、刀身が当たる音。
ツンが剣を突き付け、僕の肩に乗せたのだ。
本来ならば、騎士団長に上り詰めた者が王によって執り行われる、忠誠の儀。
モララー様も通った儀式。ツンはそれを、しっかりと覚えていたようだ。
僕は誓う───
ξ゚听)ξ「ブーン=ラダトスク……」
僕はもう、嘘をつかない───
ξ゚听)ξ「……私を護る、騎士として……」
僕は生涯───
ξ
)ξ「わたしに……忠誠を……誓いなさい……」
貴女を、護ります───
235 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/17(土) 22:51:38.83
ID:BvFhMvL/0
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ツンが剣を引く。
契りは、交わされた。
立ち上がり、ツンを見つめる。
剣を受け取ると、大事に、大切に、鞘へ収めた。
この剣はもう、絶対に、折ってはならない。
この忠誠は、もう二度と、曲げたりはしない。
ξ;凵G)ξ「ブーン……!」
両腕の中にいるこの人を、生涯護ると誓ったのだから。
───………
───………
238 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/17(土) 22:53:45.13
ID:BvFhMvL/0
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忠誠の儀を受けて、明日を待たず僕の心は、決まった。
ツンもきっと、もう大丈夫だろう。
結局、僕達が結ばれる道は、初めからありはしないのだ。
ツンだけの騎士の称号を与えられただけで、これ以上の喜びはない。
モララー様の粋な計らいを、無駄にするわけにもいかない。
( -∀-)「……さて」
( ・∀・)「二人に、話がある」
二人同時にモララー様を見た。
これ以上、まだ何かあるというのか。
( ・∀・)「この件はもう、お前達だけの問題じゃないんだ」
( ・∀・)「ついてこい」
モララー様は、城へと歩き出した。
ここでは話せない事なのだろうか。
ツンと顔を見合わせた後に、僕らはモララー様の後に続いた。
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